物価が上がっても、人々は米やパンを買い、身支度をする。そうした人々の営みを支えている会社は生き残ることはできる。ただし、バブルに踊っていたら話は別だ。我々の調査では、80年代後半から90年代初頭のバブル期、多くの企業が投機目的で土地を取得するなどしており、東証1部(当時)上場の約1200社のうち、バブルに乗っていない会社は170社程度だった。バブルに踊っていると株価急落で経営が悪化しかねない。ゼロ金利で借り入れを増やしてきた企業も要注意だ。
今こそお金にも働いてもらおう。
バブルが崩壊するなら投資は控えるべきと考えがちだが、そのような常識はもう通用しない。リーマンショックなどの危機とは異なり、今度はバブルが崩壊しても物価が上がる。現金の実質的な価値は目減りし、預金ではインフレに負けてしまうのだ。
安全なのは長期の株式だと思う。
条件は、会社をしっかり選ぶこと。働く会社と同様、人々の生活に必要な会社で、かつバブルに踊っていない会社を選ぶ。
100円のモノが120円になっても、生活に必要なら買わざるを得ない。だから世の中に必要な会社は業績が著しく悪化することはない。派手さがないから、カネ余りバブル下でも株価は過剰に上がっておらず、その分、下落も小さい。そして、業績が堅調な会社として投資家に注目され、早期の株価回復が期待できる。
下がったところで買うのが望ましく、そのためには、いつでも買えるよう、証券会社にお金を入れておくといい。預けたお金は証券会社の資産とは別に管理されるので、証券会社が破綻しても資金は守られる。
すでに株式投資をしている人は、それが人々が必要とする会社か、バブル崩壊に強いか、点検して欲しい。
大きく儲ける必要はない。まずまずの増え方で十分
投資とは企業を応援すること、だ。
応援する人が少ないと株価が下がるので、応援の買いを入れる。応援する人が増えて株価が上がったら、その人たちに任せて利益を確定させる。そして、次に応援する人が減った時に再び応援買いをする。それをリズムよく繰り返すのが、本格的な長期投資である。
自身で株式投資をするなら、そんなリズムを意識しよう。多くはないが、そうした本格的な長期投資を行う投資信託を使う方法もある。リズミカルな売買は投信に任せ、それを積み立て購入し、長期保有する。
実のところ、地味な会社は株価が爆発的に上がることはない。それではつまらない? いや、それで十分。長期投資とは地味な会社を泥臭く応援していくもので、そんなに儲かるものではないし、そもそもそんなに儲ける必要はないのだ。