Q4. インフレで金利も上がる?

世界でインフレが続くなか、各国の中央銀行が続々と政策金利を引き上げています。もし日本でも金利が引き上げられれば、住宅ローン金利が上がるなど、家計に大きな影響が出てしまいます。

コロナ禍が始まった2020年3月、景気悪化を避けるため、世界各国は一斉に金利を引き下げました。金利が下がればお金を借りやすくなり、企業活動は活発になります。これで世界中にお金があふれたことが今回のインフレの背景にあります。

インフレが進んだことで、今度は各国が金利を引き上げ始めました。これは、過熱した景気を冷やし、物価上昇を抑えるのが狙いです。

一方、日本の政策金利は2016年からずっとマイナス0.1%で底ばいのまま。当時は消費者物価指数が2%を超えたら見直す予定でしたが、2%を超えてきた今も景気が回復する気配は見えず、超低金利のまま据え置かれています。

みんなの給料が上がり、確実な景気回復が見え始めない限り、政策金利が上昇することはなさそうです。

図4 金利を上下させる狙い

Q5. なぜこんなに円安になった?

ドル/円レートはこの3月から急速に円安が進み、9月には1ドル=140円台と、20年以上前の水準まで下がりました。これが物価上昇の一因になっています。

この円安の理由はシンプルで、アメリカの金利が上昇したからです。

投資資金は猛スピードで儲かるところに流れます。金利の低い円を売ったり、円で借りたりしてドルに投資すれば、それだけで金利差分がリスクなしで稼げます。

これまでは「有事の円高」という動きがありました。戦争などで世界情勢が不穏なときは、安全資産とみられた円が買われたのです。でも、今回はそうした動きがありません。この理由には、世界的にみればロシアは日本に近いため、日本が安全とみなされないことがあります。

さらに、日本の国力が低下していることも見逃せません。景気低迷からずっと抜け出せず、1人当たり名目GDPは2000年の世界2位から21年には28位まで下がりました(IMF調べ)。通貨は国力を示す鏡でもあるのです。

図5 今の円安はアメリカが金利を上げたため