Q2. 急に物価が上がったのはなぜ?

身の回りで値上げが急に増えた原因は、商品の製造原価が上がったことです。

世界的なインフレで原材料の国際価格が上がり、コロナ禍やウクライナ侵攻の影響で輸送費も上がり、さらに、急激な円安が輸入価格上昇に追い打ちをかけています。エネルギー価格の上昇で電力やガスなど国内の製造経費も上がり、コスト上昇に耐えきれなくなった企業が相次いで値上げに踏み切りました。

長くデフレが続くなか、ずっと値上げを我慢していた企業が、この機に追随したケースもあるでしょう。

こうした原因によるインフレを「コストプッシュ型」といいます。

一方、海外では、コロナ禍が一段落して消費意欲が盛り上がり、需要の拡大が物価を押し上げています。こちらは景気上昇につながる「デマンドプル型」のインフレです。

日本ではコロナ禍がいっこうに収まらず、自粛ムードが続いています。この物価上昇で消費意欲にさらにブレーキがかかれば、景気回復はいっそう遠のくばかりです。

図2 インフレの2つのパターン

Q3. インフレはいいこと? 悪いこと?

物価が上がるのはちっとも嬉しくありませんが、インフレは決して悪いことではありません。

消費意欲が上がってモノが売れるデマンドプル型のインフレなら、企業に利益が出て給料が上がり、さらに消費意欲が上がる、という好循環が期待できます。物価が上がっても給料がもっと上がるなら、むしろ歓迎ともいえそうです。これが「よいインフレ」で、日本でも高度経済成長期はこの状況が続きました。

ただし、インフレにも「悪いインフレ」があります。それは、不景気のなかで物価上昇が続く「スタグフレーション」と呼ばれる状態です。

不景気で給料が下がっていくときに物価上昇が続けば、生活はどんどん苦しくなります。日本はこのままだと、そんな悪いインフレに突入する可能性があります。

私たちは長い間、デフレになじんできています。物価が下がるのは悪くない、と思うかもしれませんが、これはいわば経済の“ジリ貧”状態。将来のためには、デフレ脱却はどうしても必要な課題です。

図3 よいインフレと悪いインフレ