誰も教えてくれない老後の現実

ところが、誰も老後不安を解消するために現実を語ってくれません。

マスコミは老後不安をあおる記事ばかりですし、金融機関も年金不安をあおります。彼らにとっては「老後不安」は最大の商材だからです。メディアは、不安をあおるような報道をするほど記事もよく読まれますし、視聴率も上がります。金融機関にとっては、年金があてにならないほうが、金融商品がよく売れるので、ますます不安をあおりがちになります。

見出しには「経済停滞」の文字
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いちばん参考になりそうなのは“老後”の体験者、すなわち高齢者ですが、困ったことに彼らも不満は声高に言うものの「年金があるから安心」とか「生活はそれほど問題ない」とは決して言いません。「十分な年金をもらっている」などと発言しようものなら「年金が減らされるのではないか?」と思うからです(笑)。

誰も教えてくれないならどうすればいいのか、それは自分で調べるしかありません。それが「見える化」なのです。

「見える化」は意外に簡単

私は定年前に老後のお金の「見える化」をしたわけですが、これはそれほど難しくはありません。要は「入」と「出」を把握すればよいのです。

サラリーマンの場合は比較的簡単です。

サラリーマンにとって老後の収入の最大のものは公的年金です。公的年金がいくら受け取れるかは年に一回送られてくる「ねんきん定期便」を見ればわかります。

もっと簡単に見ようと思うなら、2022年4月から厚生労働省が試験運用を始めた「公的年金シミュレーター」を使えば簡単に自分の年金額がわかります。

60歳まで働いたサラリーマン夫婦世帯であれば、仮に90歳まで生きたとして、公的年金の受取総額はおよそ6500万円を超えるぐらいになります。

これだけでずっと安泰というわけではありませんが、何もしなくても老後はこれだけのお金が入ってくると考えれば一定の安心感はあります。

それにサラリーマンなら会社によっては退職金や企業年金が受け取れる場合もあるでしょう。

要は、「自分の貯めたお金以外に、定年後に何もしなくても入ってくるお金がどれくらいあるか?」を調べればよいのです。