好きなもの、好きな理由を知っているか

たとえば、次の質問にすぐに答えられますか?

我が子の好きな食べ物はなんですか? なぜそれが好きなんですか?
我が子の好きなアニメは? なぜそれが好きなんですか?
我が子の好きな時間は? なぜそれが好きだと分かるのですか?

まず、好きなことシリーズの3つの質問を出しました。

「そんなこと、我が子なんだから答えられますよ!」

親であれば誰でも答えられそうな簡単な質問です。

好きな食べ物がスパゲッティーだとしましょう。きっと、そこまでは分かる方が多いと思います。それはなぜですか?

小さい頃、好きになるきっかけには、どんなエピソードがあったかご存知ですか? 学校では、それが出てきたら、どれだけ食べているか知っていますか? あなたの前では食べているけど、学校では食べていないなんてこともよくあることです。

好きな理由を知っていますか?

子どもは言葉足らずです。きっと聞いたら「なんとなく」なんて答えが返ってきます。

「なんとなくじゃなくて、具体的に教えて!」

なんて言い続けると、子どもは適当にその理由を言うようになります。

これをきっかけに、「話したくない!」と、ますます距離が出てしまうということもあるでしょう。

言いたいことをぐっと我慢して、言わない権利(やらない権利)を認めましょう。

続けると、無意識にできるようになる

聞かずに、ただ見ましょう。我が子の好きなものに、興味をもって見ましょう。

庄子寛之『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)
庄子寛之『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)

意識してただ見るのです。

すると、細かな違いに気づいてきます。

スパゲッティーを食べているときは、とにかくおいしそうに食べる。野菜嫌いなのに。

ミートソースは好きだって知っていたけれど、カルボナーラはもっと好きなんだ。食べさせたことなかったのに。給食かな?

口にソースがついていることを気にするようになったな。昔は、口にいっぱいつけていたのに。どこで習ったんだろう。だれかに言われたのかな?

ここまで感じ取れたら、ポイント3の「小さな変化を感じ取る」ができている証拠。これを最初は意識的に繰り返し、3週間続けて行えれば、無意識にできるようになります。

まずはここまでのことを意識してみましょう。

親子の関係が、がらっと変わることと思います。

我が子は、日々成長しています。

雰囲気、表情、昨日との違い、我が子の細やかな変化に目を向けてみましょう。

そして、親であるあなたが良い悪いを判断せずに、ただ変化を感じ取ること。

それを意識するだけで、どんどん小さな変化を見つけられる目をもてるようになります。

あなたにも我が子にも笑顔が増えていくのです。

庄子 寛之(しょうじ・ひろゆき)
ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター 研究員

大学院で臨床心理学科を修了。道徳教育や人を動かす心理を専門とし、東京都内の公立小学校に約20年勤務し、「先生の先生」として全国各地で講演も行った。学級担任として接した児童は500人以上、講師として直接指導した教育関係者は2000人以上にのぼる。2023年度よりベネッセ教育総合研究所に所属。『子供が伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)、『教師のための叱らない技術』『withコロナ時代の授業のあり方』(ともに明治図書出版)、『オンライン学級あそび』(学陽書房)など著書多数。