仕事がマンネリ化したら環境の異なる場で副業を

実際に、1人ダイバーシティの効果は経営学でも実証されています。例えば米ワシントン大学のスチュアート・バンダーソンらが2002年に発表した論文では、さまざまな職能を経験している経営メンバーがいる企業ほど、業績が高いことが分かっています(*1)

そういえば、各界で目覚ましい活躍を遂げた女性を表彰する日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」も、実はほとんどの受賞者が多彩なキャリアの持ち主、すなわち1人ダイバーシティが高い方々なんですよね。

というわけで、「最近、なんか仕事がマンネリ気味だなあ〜」という人は、環境の異なる場で副業してみてはいかがでしょうか。お金のためではなく、それが自分のモチベーション向上につながり、自分のなかに多様性を高め、成長を促すからです。

*1 Bunderson, J & Sutcliffe, K. 2002. Comparing alternative conceptualizations of functional diversity in management teams: Process and performance effects. Academy of Management Journal.

人の認知は非常に狭い

ミスをやらかした日は誰でも落ち込んでしまいがちですよね。でも、失敗することは、経営学的に見ても決して悪いことではありません。なぜなら人は、失敗するからこそ「サーチ」するからです。

サーチとは、ノーベル賞も取ったアメリカの偉大な認知心理学者、ハーバード・サイモンらが提唱した概念で、「従来の方法を見直し、新しい情報を得ようと動き回ること」です。と言っても難しいので、要は自分の認知の外に出て、知らないことを経験し、学ぶすべての行為だと思ってください。さきほどの「知の探索」と、意味はほぼ同じです。

オフィスでヘッドセットを付けたまま、眉間に指をあてて呼吸を整える女性
写真=iStock.com/Asia-Pacific Images Studio
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前述のように人の認知は、そもそもすごく狭いんです。これは認知心理学や(それを土台にした)経営学の前提です。ですから、人は放っておくと、狭い自分の認知の幅だけで生きてしまいます。それだと成長もしないし、成果も生まれにくくなるんです。逆にサーチをすれば、認知の外の多様な情報を取り込め、広い世界における自分の立ち位置も見えてきます。