「高齢者優遇」とは言えるかもしれない

仮に優遇されるとしたら、平日でも旅行ができる高齢者でしょうか。

そもそも年金生活者はコロナによる経済的打撃はあまり関係ないにもかかわらず、10万円給付を受けられましたし、しかも今回ドタバタで決まった施策で約2カ月間ですから「そんな急に休みなんて取れない」というサラリーマンに対し、高齢者は柔軟に対応しやすいでしょう(金曜の夜に出発すればいいだけかもしれませんが、予約サイトを見てみると、割引を考慮した便乗値上げ的な価格になっているところもあるなと感じます)。

公園で一緒に座って時間を過ごすシニアカップル
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

優遇かどうかはさておき、旅行に出かけることで業界が潤うなら目的は達成できるでしょう。しかし、私が個人的に感じたことではありますが、今回の支援事業には残念な点があります。

ほかにも支援が必要な業界はある

それは旅行・観光業支援に比重が大きく、同日に開始されたイベント割の支援が薄い点です。

たとえば私の友人知人に舞台演出家や音楽家がいますが、彼らも公演等がほぼキャンセルとなり大打撃を受けたにもかかわらず、イベント割の多くは割引率20%程度にとどまります。宿泊は40%+地域クーポンがあるというのに、この差は何なのでしょうか。

ほかにも結婚式場の経営者や葬儀場を経営する知人もいますが、結婚式は減り葬儀は規模が縮小し、店舗のいくつかを閉鎖せざるを得なかったそうです。しかし彼らには観光業ほどの支援はありません(「結婚披露宴割で40%オフ!」などとやれば婚姻数にもポジティブな影響があるかもしれません)。

あるいは全中・インハイ・インカレといったスポーツの全国大会なども中止に追い込まれ、吹奏楽祭や各種コンクールも中止、修学旅行まで中止などなど、大人の勝手な都合(それもほぼ大人側の保身)で青春の思い出を奪われた若者にも何ら支援はありません。もちろん短期的な経済政策の対象としてそぐわないのは理解していますが。