副業の節税が封じ込まれ法人設立が流行する?

不動産投資家の場合は、不動産から得られる収入をいったん法人という器に入れて、所得を家族に分散したり、家賃や車代を経費に算入したりして節税しています。

オンラインで行うさまざまな納税手続き
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今後は会社員でも法人を作って節税する方法がはやるかもしれません。その理由は副業による節税が封じ込めの方向にあるからです。

たとえば、現在、会社員の傍ら副業の収入が年10万円あったとします。その副業収入を得るために30万円の経費がかかっているとすれば、副業を事業所得として申告して、赤字分を給与所得から差し引いて節税が可能です。

ところが、この仕組みを利用して節税する会社員が最近目立つため、税務当局が取り扱いを変更しました。収入が300万円を超えず帳簿書類が年間の副業収入が300万円を超えない場合は、事業所得としては認めず、雑所得となったのです。今回の変更では、取引を記録した帳簿書類があれば、副業収入が300万円を超えなくても、事業所得として認められることになりましたが、当初案では帳簿書類の有無にかかわらず、事業所得とは認めない方向でした。今後、雑所得の条件がさらに厳しくなる可能性があります。

現在、給与所得と合算して損益通算ができるのは、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の4つです。雑所得は対象となっていません。つまり、副業が雑所得になれば赤字になっても雑所得の税金がゼロになるだけで節税はできません。

であれば、会社員でも法人を設立して副業をして、所得を分散するなどして節税しようとする動きが出るかもしれません。ただし、法人を運営するためには経費がかかるため、売り上げが年1000万円程度にはなる事業を行わないとメリットが出にくいことは知っておくべきでしょう。