限定販売でも検証項目は多いため、現場は混乱

筆者も試してみました。ジェルを注入して約15分後、おへそシールをパックごと慎重に剝がすと、溝の奥にあった汚れ(おへそのごまなど)が、固まったジェルと共にスポッと取れ、驚くほどおへその溝が白くきれいになりました。

確かにこれなら、消費者が「すごくいいよ」「使ってみて」と口コミしたくなる気持ちは分かる。同じような感想を持った消費者も多いようで、「当初4カ月を目途に、およそ1000個程度を限定発売したところ、2週間で完売しました」と寺田さん。

一方で、開発段階では、「おへそに、こうした成分を入れて問題はないか」や、液の量をどの程度にするか、ゼリーポーションの液漏れを防ぐにはどうすればよいか、など品質保証の面で検証、クリアすべき課題が山のようにあったといいます。

「少量限定販売でも、開発段階での検証項目はほとんど変わらない。現場は混乱し、一部から発売を疑問視する声が上がっているのも、知っていました」

通常は、マスの市場で数十万個、数百万個の商品を販売する仕組みで動いている社内を、「限定○個」といった少量単位で対応できる仕組みに変えるまで、苦労の連続だったといいます。

販売して分かった予期せぬニーズ

半面、販売に至ったからこそ分かったことも多々あった、と寺田さん。たとえば、ターゲットが予想以上に幅広く、意外なニーズもあった。「手術前後におへその汚れを取りたい」という需要は、まったく予想していなかったとのこと。

そしてもう一つ、へそごまパックの成功事例を得て、「N=1」を起点とした商品開発に対する社内の風向きや研究員たちの目の輝きが、明らかに変わってきたといいます。