新国王、若者の43%が「否定的」
人気ナンバーワンは、やはりエリザベス女王だった。2位はバラク・オバマ元アメリカ大統領、3位はアメリカの公民権運動のリーダーだったマーティン・ルーサー・キングJr.、4位はキャサリン妃、5位がミシェル・オバマで6位がウィリアム王子だ。ちなみに7位はウクライナのゼレンスキー大統領だった。チャールズ皇太子(当時)は13位、カミラ夫人は16位だった。
女王死去後、9月中旬に行われた、YouGovによるロイヤルファミリーのメンバーに対する好感度調査では、ウィリアム王子が84%という高い支持を得てナンバーワンに躍り出た。5月の同じ調査でもウィリアム王子の人気は75%と高く、チャールズ皇太子(当時)の54%を上回っていた。
国民に人気が高かったダイアナ妃と離婚し、不倫の上カミラ夫人と結婚したことが、長い間チャールズ皇太子の人気に影を落としていたと思われる。しかし、エリザベス女王が今年初め、忠実に公務に励むカミラ夫人について「チャールズが国王になれば、カミラが王妃の称号で呼ばれるようになることを心から願っています」と述べたこともあり、イギリス国民の2人に対する考え方は次第に変化していったようだ。
9月中旬の調査では、チャールズ新国王の人気も70%に上がったが、実は、世代で意見がはっきり割れている。18〜24歳では41%が肯定的と答えたが、否定的の方が43%とやや上回る。一方65歳以上では、87%が肯定的だった。
国民の67%が君主制を支持
この調査では、イギリス国民の67%が、イギリスは今後も君主制を続けるべきだと答えている。過去の他の調査を見ても、君主制の支持率は70%前後で比較的安定しており、1997年にダイアナ妃が亡くなり王室の対応に批判が集まった時でも、この支持率にそれほど影響はなかったほどだ。しかし、君主制に対する考え方も、世代間で大きな差がある。65歳以上の86%が「君主制を続けるべき」と答えているのに対し、18〜24歳では47%にとどまっている。
よほどロイヤルファミリーが国民の信頼を失わない限り、今後も君主制を支持する傾向は続くとみられるが、チャールズ新国王率いる新しい王室が、若者の支持をいかに得られるかが課題になりそうだ。
それにしても、政界や経済界も含めた人気ランキングで、ロイヤルファミリーのメンバーがここまで上位に並ぶのは驚きだ。イギリス王室はこれまで、メディア戦略にも力を入れ、開かれた王室、親しみやすい王室の姿を国民に見せることで、存在意義を示そうと力を入れてきた。そうした努力の結果が、こうした調査結果にも表れているのだろう。また、ロイヤルファミリーの人気調査が可能な空気があること自体が、そうした戦略の結果ともいえるのかもしれない。日本では皇室に関する意識調査や象徴天皇制に関する調査が行われることはあるが、このような皇室メンバーの好感度を問う調査など考えにくい。