4人の弟の母親代わりも求められるへのケア
母親へのサポートが「母の代わり」だったのと同じように、4人の弟へのケアも、母親の代理としてである。
【大谷さん】母が出ていってから、〔下の二人の弟の〕保育園の送りは私がして、迎えは〔こどもの〕里さんにしてもらって、私、夕方、学校から帰ってきて、家で作るときもあったり、
ここで食べさせてもらうときもあったりしながらやってた感じですね。バイトもしたりしつつですね。
【大谷さん】泊まらせてくれたりとか、あと、ご飯も一緒に作って食べようみたいにしてくれてたんで、弟らと一緒にここでご飯食べて、ときどきここで寝たりとか、寝泊まりさせてもらいながら、何とか施設も行かず。
本当は、「親がおれへんようになった」よう言わんかったのは、「施設行ったらバラバラにされるな」とか、「行きたくないな」っていうのがちょっとあったので。で、デメちゃんが後見人みたいなんで、「ちゃんと見るから」みたいなかたちで、施設も何も行かず、子どもらだけの生活が当時はできたんですね。
こどものニーズに合わせたサポートが支えとなる
こどもの里の大きな特徴は、子どもが抱えているニーズに合わせてそのつど可塑的にサポートが組み立てられうるということだ。この点は普遍的な意味を持っている。行政によって定められた制度がなかったとしても、子どもが衣食に困っているのだから、それをサポートするのだ。日々の生活に必要な部分を補い、大谷さんときょうだいが生きていく力を発揮するためのサポートを、こどもの里は担っている。そしてここでも「〜してくれる」こどもの里と、「〜してもらう」SOSを出す力を持つ大谷さんとの組み合わせでサバイブすることが可能になっているのだ。これが力の補強の具体的な表現である。
ヤングケアラーになる前から誰もが利用できる居場所として居場所が機能し、困難に気づき、さらに困難に合わせてサポートが組み立てられる。これらのことが可能になったとしたら、ヤングケアラーのみならず他の困難を抱えた子どもにとっても、大きな支えになるだろう。