幸福度低下への対策の2つ目は「結婚」

幸福度の落ち込みへの2つ目の対策は、「結婚」です。

カナダ金融で働くグローバー氏とバンクーバー・スクールオブ・エコノミクスのヘリウェル教授の研究によれば、パートナーの有無によって年齢と幸福度の関係が変わることが明らかにされています(※5)

その分析によれば、未配偶者と比較して、有配偶者は40代前半から50代後半にかけての幸福度の落ち込みが小さいことがわかりました。この結果は、パートナーの存在が幸福度の落ち込みをカバーする効果があることを示しています。

結婚の効果は中高齢期にジワジワ効いてくる

日本では「結婚にはメリットがない、コスパが悪い」と指摘する言説が一部存在しています。確かに、20代から30代にかけて結婚に対してそのような考えを持つのも理解できないわけではありません。

ただ、結婚のプラスの効果が顕在化するのは、中高齢期に入ってからであり、後からジワジワと効いてくるのです。

グローバー教授らは結婚のプラスの効果がどのような場合に特に発揮されるのかという点についても分析しています。

その結果、結婚によるプラスの影響はパートナーとの関係性によって変化し、パートナーを人生を共に歩む「最良の友」と認識している場合、その効果が特に大きいことがわかりました。

おそらく、良き相談相手となるパートナーの存在が理想と現実のギャップからくる苦しみを緩和し、幸福度の落ち込みを小さくしてくれるのだと考えられます。

(※5)Grover, S., Helliwell, J.F. How’s Life at Home? New Evidence on Marriage and the Set Point for Happiness. J Happiness Stud 20, 373–390 (2019).

幸せなシニアカップル
写真=iStock.com/spukkato
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日本で中年の危機が深まる危険性

長い人生の中で浮き沈みはありますが、平均的に見た場合、50歳前後で幸福度が最も低くなります。そして、これへの対応策は「お金」と「結婚」です。

ただし、日本では平均年収はなかなか伸びず、未婚率も持続的な上昇傾向にあります。これらの点から、今後、中年の危機がさらに深まることが懸念されます。

佐藤 一磨(さとう・かずま)
拓殖大学政経学部教授

1982年生まれ。慶応義塾大学商学部、同大学院商学研究科博士課程単位取得退学。博士(商学)。専門は労働経済学・家族の経済学。近年の主な研究成果として、(1)Relationship between marital status and body mass index in Japan. Rev Econ Household (2020). (2)Unhappy and Happy Obesity: A Comparative Study on the United States and China. J Happiness Stud 22, 1259–1285 (2021)、(3)Does marriage improve subjective health in Japan?. JER 71, 247–286 (2020)がある。