肩書があるわけでもないのに会社内やグループ内で傍若無人な振る舞いをする「女子ボス」。常に周囲の人間を攻撃する迷惑者にどのように反撃したらいいのか。自らもかつて被害にあったという産業カウンセラーの川村佳子さんは「飛んできた人格否定の言葉に、短くて重みある“リアクションワード”を準備しておくといい」という――。

※本稿は、川村佳子『「女子ボス」のトリセツ』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

窓際に座る孤独な女性
写真=iStock.com/bee32
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「誠実さと正論」だけでは解決できない

みんなを悩ませている「女子ボス」。女子ボスとは、自己存在の実感を求めるあまり、ハラスメント(いじめ・嫌がらせ)をしてしまう女子のこと。皆さんは、どんな人物をイメージするでしょうか?

◎いつも攻撃的な態度で、マウントをとる女子。
◎新人が入ってくるたびに、いじめ続ける女子。
◎同僚なのに、上司面する女子。

その心の中には嫉妬や差別意識、不快感の解消、そして、根底にある「自己存在への自信のなさ」があるために、理不尽な攻撃をしてきます。

産業カウンセラーの私自身も以前、歪んだ人間関係の組織で、理不尽な攻撃を受け続けた過去があります。初日から挨拶を無視される、会議の日を教えてもらえない、1人だけ人間関係から切り離され、孤立しかけたことがありました。

また、どう考えても1人ではやり終えることができない仕事を何度も押し付けられ、助けを求めに行っても、助けてもらえないという状況下で仕事を続けることになった経験があります。

それが続くと、次第に、

「自分の感覚がおかしいのではないか」
「自分はできの悪い未熟者」

といった、否定的なセルフイメージを持つようになりました。

そして、四六時中、意地悪をしてくる「女子ボス」に意識が向くようになり、本来向ける必要のある「業務」に意識が向けられなくなり、初歩的なミスを連発。悪循環にハマっていきました。

私は、ストレスが溜まっていくこと、疑心暗鬼になっていることを感じ、自分が努力をすることを前提に、指揮命令系統の明確化や、環境の調整を責任者にお願いしました。

しかし、

「あなたが変われば、相手も変わる」
「あなた、心理学を勉強してきたでしょ? あなたが解決して」

と言われ、人間関係を含めた環境の調整には、一切介入してもらうことができませんでした。

「女子ボスの存在で、これまでに何人も新人が辞めた」とボヤいていた責任者もまた、女子ボスに頭を悩まされていたはずでしたが、対処することを拒み、実際には行動に移さず、最終的には「保身」を選んだのです。ネガティブな記憶として残る、非常に悲しい出来事です。

メンタルヘルス対策の重要性を伝え、環境への介入、悩んでいる労働者の悩みを聞いてきた私は、大きな無力感とともに、ハラスメントの問題は、「誠実さと正論」だけでは解決できないことを知りました。

これだけ多種多様なやり口を使って攻撃をしてくるのですから、当然と言えば当然です。

しかし、これまでの相談業務の中で、職場の環境改善に積極的に取り組む管理職の方々、真剣な職員の方々にも本当に多く出会ってきました。

「安心して自分らしく働く」

とても簡単なようで、最終的にはこのことが皆さんの「職業生活と命を守ること」だと私は考えています。