血糖値を下げ、痩せやすい体をつくるにはどうすればいいのか。循環器内科医の池谷敏郎さんは「食後に運動を取り入れるのがお勧め。ダラダラと汗を流しながら行うような運動は必要ない。食後30分から1時間くらいの間に、1分程度、軽く体を動かすだけでいい」という――。(第3回/全3回)

※本稿は、池谷敏郎『血糖値はたった1分の習慣で下がる!』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

トレッドミルで走る人々の足元
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ツラい運動は必要ない

血糖値を下げるためには、「食べ方」が重要ですが、もうひとつ、やっぱり大事なのが、運動です。

でも安心してください。ダラダラと汗を流しながら行うような運動ではありませんから。

血糖値を下げるための運動は、家の中で、イスに座ったままできる、ゆるいエクササイズで十分です。

ダイエットをしよう、健康のために運動しようと思い立って、ハァハァ言いながらランニングマシンの上を必死に走っている方、いますよね。

楽しんでやっているのであればいいのですが、健康のためにイヤイヤやっているのであれば、必要ありません。ツラい運動は続きませんから。

運動を始めようと思い立って、スポーツジムに入会したのに、「今日は疲れてる」「ちょっと忙しい」「天気が悪い」などと多彩な理由をつけてだんだん足が遠のき退会したこと、ありませんか? あるいは、ウォーキングを習慣にしようとシューズを買ったのに三日坊主で終わった、とか。患者さんのお話を聞いていても、そういう方がほとんどです。

重い腰を上げなくても気軽にできるエクササイズでなければ意味がありません。

それに、高血糖をはじめ生活習慣病を抱えて、血管や心臓にすでに問題が起きかかっている場合、ハードな運動はかえって体に負担をかけてしまいます。

「食後に動くと消化に悪い」は大間違い

常識というのは時代とともに変わっていくものです。健康に関する常識も同じです。

「食後に動くと消化に悪い」

これも、過ぎ去りし時代の常識です。

食後は、消化のために胃腸まわりに血流が集まります。ところが、体を動かすと、筋肉にも血流がいき、胃腸まわりの血流が落ちるので、消化機能が落ちます。つまり、消化の邪魔をしてしまう。

だから、「食後は運動をしてはいけない」と、かつては言われていました。

でも、それは過食がなかった時代の作法なのです。

糖質をとりすぎて、血糖値も上がりやすくなっている現代人は、食後こそ、こまめに体を動かしたほうがいい。糖の吸収をちょっと邪魔するぐらいがちょうどいいのです。

なおかつ、体を動かすには、エネルギー源が必要です。そのエネルギー源として使われるのが糖です。筋肉を動かせば、余った糖が使われ、血糖値が下がります。