マリカーから「勝負」を学ぶ

そして私はいま、『マリオカート8 デラックス』に入れ込んでいます。

マリオカートって初めてやったんですが、成功と勝敗の法則が詰まりまくっている哲学ゲームだったんですね。むちゃくちゃためになります。

マリカーは順位を気にしすぎると抜かされる。とにかく自分の走りに集中し、「今やるべきこと」だけを淡々とこなし続けると、知らない間に勝っている。

私は子どもの頃からスポーツなどの勝負事が苦手でした。「勝とうとして闘志剥き出しの人」ってなんか怖くて直視できないし、自分がそういう姿になることを恥じてもいたので、とにかく「勝たなくていい」という思考で運動会などをこなしてきました。

だけどマリカーによって、勝つことの喜び、爽快感、素晴らしさを知ってしまいました。負けても次は勝つという目標のために攻略する楽しさまでも。

勝つためには他人を陥れる攻撃も大事だけど、防御も重要で、運やタイミングも関係してくる。だけど最も大切なのは、自分自身を信じて、その瞬間を楽しむこと。強気にも弱気にもなりすぎず、流れに身を任せる選択をするのも大切。

人生の勝負時に気をつけるべきことをマリカーですべて復習できます。そんでほんと、それぞれのステージの背景の作り込み、美しさがすごいんです。最高。

家族が寝静まった夜、リビングでマリカーを1人でしている時の私は、もう没入しすぎて顔がテレビ画面に入っているのでは? っていうくらいなんかマインドがマリカーの世界と一体化してしまい、たぶん眼とか全身が青色に光っちゃってるんじゃないかってくらい、猛烈に楽しませてもらっています(大丈夫か)。

今後の人生は、できる限りいろんなゲームをやってみたいです。ゲームに興味ない43年間を過ごしてきて、まさか自分がそんなことを思うとは思っていませんでした!

田房 永子(たぶさ・えいこ)
漫画家

1978年東京都生まれ。2001年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞(青林工藝舎)。母からの過干渉に悩み、その確執と葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を2012年に刊行、ベストセラーとなる。ほかの主な著書に『キレる私をやめたい』(竹書房)、『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』(河出書房新社)、『しんどい母から逃げる!!』(小学館)などがある。