みずほをナンピン買いした結果……

そして今、そのようなスタンスで買っている銘柄の一つが「みずほフィナンシャルグループ」です。

配当利回りの高い銀行株を100万円程度持っておくか……と、4年ほど前に1900円程度の時に初購入。その後、コロナショックもあって大きく株価を下げる中、ナンピン買いを何度か行いました。そのおかげで、現在の平均購入単価は1500円台半ばまで下がり、配当金込みで若干のプラスとなっています。

【図表2】みずほフィナンシャルグループの株価の推移(2017年以降)

ナンピン買いによる買い増しにより、現在500株保有なので、投資額は75万円程度。

投資上限の100万円まではまだ余裕があるので、これから値下がりをすれば、また淡々とナンピン買いを行うつもりです。もし、ズルズルと値下がりが止まらず、損失が広がったとしても、それは結果論として受け入れるつもりです。

このように、最初からリスク上限を設定し、値下がり時のスタンスもしっかり決めているのであれば、ナンピン買いも「アリ」かと思っています。

人間の本能がナンピンへ駆り立てる

人間の本能からすれば、どうしてもナンピン買いをしてしまいがちです。

なぜなら、保有銘柄の値動きを見ていても、どうしても購入当初の株価が基準になってしまうもので、それよりも値下がりしていると、「買わないともったいない」と感じてしまうから。保有銘柄の値下がり時、「むしろ、今がチャンスです」との定番の営業トークは、そんな本能をうまくついているわけですね。

また、損失を抱えているときには、人間は「損を取り戻したい」と、リスク志向型になりやすいことは、行動経済学でも証明されています。そんな理由からも、保有銘柄の値下がり時には、人はナンピン買いに駆り立てられるのです。

だからこそ、最初にしっかりと、ナンピン買いをするかしないかを決めておくことが大切なのです。

何も考えていないと、保有銘柄が値下がりしたときには、本能のままにナンピン買いをして、(結果的に成功するかもしれませんが)失敗に終わる可能性が高く、また、結果如何にかかわらず、想定外のリスクを抱えることになってしまうからです。

実は今回、雪国まいたけへの投資については、ナンピン買いはしないと決めていました。

それでも、ズルズル下がり続ける株価を見て、その決心が揺らいでいるのは事実で、それくらいナンピン買いは魅力的なのです。そんな魅力に惑わされずに、ナンピン買いは、慎重に判断したいものですね。

藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー

1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。