「エモい」は古語の「あはれ」に近い

〔かわいい〕

小さく愛らしいものを表現することばで、特に会話専用のことばではありません。ただ、応用範囲が広いことばなので、メールでの表現ではもう少し厳密な表現も工夫してみましょう。

●かわいい(柄・人形)
●きれいな(色・風景)
●可憐(かれん)な(花・声)
●愛くるしい(表情・笑顔)
●愛すべき(性格・人物)

〔エモい〕

思わず感情を揺さぶられるような物事に対して使う若者ことばです。「エモーショナル」ということですね。

飯間浩明『語彙力がなくても「伝わる」ビジネスメール術 』(朝日新聞出版)
飯間浩明執筆・監修、古賀及子執筆『語彙力がなくても「伝わる」ビジネスメール術』(朝日新聞出版)

ずばり古語の「あはれ(憐れ)」に非常に近い意味を持ちます。「あはれ」は現代語訳ではよく「趣がある」などと言い換えられますが、そのほかにも以下のような表現があります。

●風情がある
●心を動かされる
●心を揺さぶられる
●懐かしい
●もの寂しい

〔ウケる〕

「つい笑ってしまうような面白さ」を表現することばです。ちょっとあざ笑う感じもありますが、メールでは、そんなニュアンスが出ては困ります。

●面白い
●興味深い
●微笑を誘われました
●思わず笑ってしまいました

〔おいしい〕

「味がいい」という意味ではなく、ここでは、棚ぼた式に利益がきたという状況を指しています。

●願ってもない機会をいただきまして
●望外の幸せと存じます
●弊社にとっても利益になることと存じます

〔推し〕

「推しアイドル」のように、自分が応援している対象を指すことばです。今や「私の推しは……」でも通じることが増えてきましたが、オーソドックスな表現を考えてみましょう。

●お薦めの
●気に入った
●推薦したい
●注目している
●応援している

飯間 浩明(いいま・ひろあき)
日本語学者 国語辞典編纂者

『三省堂国語辞典』編集委員。1967年生まれ、香川県高松市出身。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院博士課程単位取得。国語辞典の改訂のために日本語を観察し、説明の原稿を書く毎日。一方で、分かりやすい論理的な文章を書くための方法を追究している。著書に『日本語はこわくない』(PHP研究所)『日本語をつかまえろ!』『日本語をもっとつかまえろ!』(毎日新聞出版)『知っておくと役立つ街の変な日本語』(朝日新聞出版)『伝わるシンプル文章術』(ディスカヴァー)ほか。

古賀 及子(こが・ちかこ)
ライター