「頑張る」は言い方に工夫を

〔頑張る〕

●昇進して忙しくなるだろうけど頑張ってください
→今後ご多忙になることと存じますが、何とぞ健康第一で活躍されますよう、お祈り申し上げます

「頑張る」は軽いメールなら使えます。ただ、一般的に、「頑張って!」と励まされると負担に思う人もいます。

さまざまな言い方を工夫してみましょう。

●被害(自然災害など)に負けず頑張ってください
→私どももできるかぎりご協力いたします。一日も早い復旧が成りますよう、心よりお祈り申し上げます

●司会進行の大役、頑張ります
→力不足ではありますが、精一杯努めますので、何とぞよろしくお願い申し上げます

「すごい」「まじ」はどう言い換えるか

気安い相手ならごく普通に使える若者ことばや流行語も、職場環境や相手の人柄などによっては、封じておいたほうがよさそうな場合もあります。「ああ、いつもだったらこう言えるのにな」といったことばを、もう少しフォーマルに言い換えてみましょう。

〔すごい・超〕

「程度」を表す表現です。程度表現のバリエーションは案外限られています。べつに強調する必要がない場面であれば、削ってもかまいません。

●大変
●非常に
「非常に」は硬い表現ですが、文章ではよく使います。
●とても
大正時代くらいまで、「とても」は「とてもできない」のように否定形で結ぶ用法が一般的でした。現在では「とても面白い」のように程度の強調に使いますが、比較的新しい表現であるだけに、口語的で柔らかい印象があります。
●はなはだ(甚だ)
非常に硬い表現です。「甚だご迷惑をおかけし」「甚だ遺憾に存じます」など、おわび・抗議といった場面で使います。「甚だうれしく存じます」などは、ちょっと違和感があります。

〔まじ・ほんと〕

真実だ、嘘いつわりない、ということを表します。「まじ」は会話では大した意味もなく使われるので、メールでは単純に削除してもかまいません。

●本当に
●まことに
●実に
●心底(から)
●心の底から
●~が率直なところ(印象・気持ち)です

〔やばい〕

「やばい」は、会話ではよくない状況や物事にも、好印象の物事に対しても広く使うことができますが、それに相当する意味の広い書きことばがないのが難しいところです。ここでは、ポジティブな意味のほうの表現に言い換えてみましょう。

●まことにすばらしい
●非常に優れた
●見事な
●結構な

〔全然〕

「全然」は、書きことばでは「全然~ない」と否定形で結ぶことが一般的です。歴史的には、「全然自分の意志に支配されている」(芥川龍之介『羅生門』)のように「全然~肯定形」も普通にあったのですが、戦後は「全然~肯定形」は「全然OKです」のように会話で使われることが多くなりました。ここでは、「全然~肯定形」の言い換えを示します。

●まったく支障ございません(←全然OKです)
●まったく問題ございません
●当初思ったよりも簡単でした(←全然簡単だった)

なお、「思ったより」は、「思ったより面白い話でした」のように、相手を評価する際には使わないよう、注意が必要です。