外務省職員の7割が女性

上場企業の取締役会に占める女性の割合は、フィンランド商工会の調べで約3割(2020年)。まだ半数という目標には達していないが、女性役員の人数もこの10年で3倍に増えている。これは世界的にも高い数値となっていて、例えば、コンサルティングファームのデロイトが2019年に発表した調査によると、世界60カ国のうちフィンランドは32%で4位に入っている。上位2カ国は順にノルウェー41%、フランス37%だが、いずれもクウォータ制(一定の比率で女性に優先的にポストを割り当てる制度)を採用している。それに続くスウェーデン、フィンランドは、クウォータ制を採用していない。

省庁でも、職員の男女比は半々に近づきつつある。中でも、外務省は女性の方が多く、職員の7割を女性が占める。外交官の数でも女性が男性を上回り、大使などの代表者も男女でほぼ同数だ。しかも最近では、外交官研修に合格する人たちの多くが女性となっており、一部の男性外交官は「僕は絶滅危惧種」と冗談で言うほどだ。これだけ女性が増えているのは、語学力に優れ、国際政治や社会学を学ぶ優秀な学生に女性が多いためだという。

女性が経営する企業のほうが、利益率が平均10%高い

これほどまでに、女性が決定権のある立場に就くようになってきたのはなぜか。

まず、能力に性別は関係ないことが幅広く認められてきたことが背景にある。例えば、女性を経営陣に登用している企業は業績がいいことが示された。フィンランド版の経済同友会にあたる「ビジネス・政策フォーラム」(EVA)が2007年に発表したレポートによると、上場企業では女性経営者の企業の方が、男性経営者の場合と比べて平均で利益率が10%高いという。レポートでは、あくまでもヒアリングによる推論としながらも、女性の方がビジネスの課題やリスクを見つけて早めの解決につなげていく傾向が強く、教育レベルも高くて専門知識や経験も豊富なうえ、国際感覚やコミュニケーションに長けているため、と理由が述べられている。

メディアもこうした調査結果や、ロールモデルとなるような女性たちを盛んに取り上げてきた。さらに中央省庁や公的機関で積極的に女性を登用していったことも影響している。今や修士号や博士号を取得するのは男性よりも女性の方が多くなり、アシスタント業よりも専門職に就く女性が増えたことも大きい。