若者の性行動経験率は2005年がピーク
今回の男女共同参画白書には、調査の結果から、若者を対象とした「恋人として交際した人数」を集計したグラフが掲載されています。その中で、「いない」と答えた人は20~30代の独身女性では24.1%、独身男性では37.6%にのぼっています。特に20代男性では、交際経験がない人は4割近くという結果になりました。
この結果を受けて、新聞やテレビなど大手メディアでは「若い人が交際しなくなったのでは」といったニュアンスで報道されているようです。一方、ネットメディアでは「そうした傾向は昔からあり、最近変化したわけではない」という論調も見られました。
この分野の研究者の間では、「若者のデート・性交(セックス)経験率はここ十数年低下傾向にある」というのが共通理解になっています。これは、日本性教育協会が6年に1度実施している「青少年の性行動全国調査」の結果からも明らかです。
同協会の調査結果を、高校生・大学生の男女に絞って見てみると、デート経験率、キス経験率、性交経験率の多くが2005年を境に低下傾向となっています。例えば大学生女子の性交経験率は、調査を開始した1974年から上昇を続け、2005年には62.2%になりました。ところがその後は、2011年が46.0%、2017年が36.7%と下降の一途をたどっています。
大学生男子も同じです。1974年から上昇を続けて2005年には63.0%になりましたが、その後は53.7%、47.0%と下がり続けています。次の調査予定は2023年ですから、そこで違う結果が出る可能性もありますが、現時点では2005年前後をピークとして「若者の性行動は不活発化している」と結論づけることができます。