SDGsを阻む「認知脳の暴走」
近年、「SDGs」という言葉を耳にする機会がとても増えてきました。「SDGs」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。SDGs(エス・ディー・ジーズ)と呼びます。SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193カ国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。どんな目標なのか見てみましょう。
②飢餓をゼロに
③すべての人に健康と福祉を
④質の高い教育をみんなに
⑤ジェンダー平等を実現しよう
⑥安全な水とトイレを世界中に
⑦エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
⑧働きがいも経済成長も
⑨産業と技術革新の基盤をつくろう
⑩人や国の不平等をなくそう
⑪住み続けられるまちづくりを
⑫つくる責任、つかう責任
⑬気候変動に具体的な対策を
⑭海の豊かさを守ろう
⑮陸の豊かさも守ろう
⑯平和と公正をすべての人に
⑰パートナーシップで目標を達成しよう
以上の17項目になります。
これは認知脳だけでは実現しにくい課題です。自己肯定感的な思考と仕組みの先に、これらの目標は持続不可能ではないかと容易に想像できます。それはそうです。その背景には、これらの目標となる社会課題を、認知脳の暴走によりつくられてきたということがあるのですから。非認知脳による思考を磨いて、世界中の人が自己存在感を持って、自分と心を大事にしていければ、これらのSDGsの17項目の改善につながると、私は確信します。
見せかけのSDGsで、社会は変わらない
逆に、今の認知的な脳の発展では決してSDGsは実現することはないのです。
だからこそ、SDGsの実現には、人類のBXが大事になってきます。
肯定感を維持するために認知脳を暴走させている人たちも、一方で否定感で苦しんでいる人たちも、みんなが視点を変えて「自己存在感」の生き方を持てれば、自分も幸せで、そんな人たちの集まる組織「社会や地球」は、持続可能な成長を遂げていくに違いありません。
真のSDGsの実現には、必ずと言っていいほど私たちが非認知的な脳を育み、BXの先にしかありません。見せかけのSDGsを認知的に目指し実行していても、社会が変わっていくことは不可能なのです。SDGsは、マズローの欲求の最上位に人類が到達して見えてくる景色と言えるでしょう。
北海道大学医学部卒業。慶應義塾大学スポーツ医学研究センターでスポーツ医学を学ぶ。1999年、QOL向上のための活動実践の場として、エミネクロスを設立。応用スポーツ心理学をベースに、個人や組織の活動やパフォーマンスを最適・最大化する心の状態「Flow」を生み出すため、独自理論「辻メソッド」で非認知スキルのメンタルトレーニングを展開。著書に『スラムダンク勝利学』『ゾーンに入る技術』『禅脳思考』『自分を「ごきげん」にする方法』他多数。