興味を持ちすぎていたらどうするか

一方、子どもが戦場の悲惨な映像などに興味を持ちすぎている場合は、どうしたらよいのでしょうか。親が見ることを極端に規制すると、子どもは余計に見たがります。結局、親に隠れて見たりするようにもなりかねません。

ですから親としては、見ることや興味を持つことはよしとし、そこからこの戦争を、違う国に住む人たちに思いをはせ、命の大切さについて考えたり、政治や経済について学んだり話し合ったりするきっかけにしてほしいと思います。

また、テレビなどで映し出されるウクライナでの戦闘の様子に刺激を受けて、戦闘系のゲームが好きな子は、本物の戦闘をしたいと考えてしまうのではないかと、心配される親御さんもいるかもしれません。こうした場合、確かに関心は持つかもしれませんが、最初にご説明した通り、「9歳の壁」を超えた子どもであれば、現実とゲームがごっちゃになることは、まず考えられません。そこまで神経質に考える必要はないでしょう。

構成=池田純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。