不満が多い人の頭の中

これに対し、何かと不満が多い人は、無意識のうちに「自分の環境は誰かから与えられるもの」「その環境は自分では変えることができない」という発想があるように感じます。

学校、就職、結婚といったさまざまな選択肢も状況も、すべて誰かから与えられている。だから自分はその中でベストを尽くすしかなく、それでうまくいかなかったら、その環境を与えた側の責任である、という受け身の考え方です。

こう捉えれば、「自分だって努力しているのに不遇なのは、自分がポンコツだからではなく、努力不足だからでもなく、その時代環境や状況をつくり出した誰かが悪いんだ」と主張している理由がわかるような気がします。

最近はやっている「親ガチャ」というのも、「自分が無能なのではなく、ダメ親だから自分が不遇なだけで、親に恵まれれば自分だってうまくやっていけたはずだ」という、自尊心を守ろうとする保身願望が含まれています(子の人格を破壊するような毒親は別として)。

会社や上司の不平不満ばかり言う人も同じ思考回路です。不満があるなら自ら変えようとか提言しようとか、あるいはそこから離れようとか、いくらでも選択肢はあるのに、「自分で何とかしよう」という意思を捨てて思考停止してしまっているのです。

誰かの影響をモロに受けてしまうのは不幸

受け身で思考停止しているから、おかしいことをおかしいと思わない。

おかしいと思っても、おかしいと言わない。

おかしいと言うだけで、おかしいことを変えようとしない。

こうしたことを続けていると、誰かの影響をモロに受けることになります。誰かに翻弄ほんろうされ、誰かに搾取されるということが起きてしまう。とても不幸なことではないでしょうか。

ビジネスマンの指と対抗するたくさんの指
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不満を口にしない人たちは、人生や世の中の捉え方が180度違います。彼らは「自分の人生も環境も、自分で創り出せるし自分で変えることができる」という前提で対峙たいじしています。だからつねに問題意識が発動します。

「これはちょっとおかしいんじゃないか?」「こういう問題が起こるんじゃないか?」「これは変えた方がいいんじゃないか?」と気が付き、「では自分ならどうするか」に思考が向かいます。つまり「考え、行動する」わけです。

コロナが長引いて、多方面に甚大な影響が出ています。けれど彼らの多くは、2020年の早いタイミングで、コロナに対応できる商材やビジネスモデルの変革に舵を切りました。飲食店経営者の知人に聞くと、やはり相当な打撃を受けているそうですが、行政を批判したところでどうしようもないと、集客強化のため新メニューの開発をしています。