韓国、台湾との差が開いていく予測

これに対し、韓国の指数は、このグラフのほぼ全期間を通じて上昇を続けている。1960年には、韓国の一人あたりGDPはOECD平均の11.9%にすぎなかったが、1994年に50%を超えた。1998年にはアジア通貨危機で38.1%に落ち込み、2009年にはリーマンショックの影響で再び落ち込んだ。しかし、こうしたショックは短期的な影響にとどまり、いま韓国はOECD平均に迫っている。

野口悠紀雄『日本が先進国から脱落する日』(プレジデント社)
野口悠紀雄『日本が先進国から脱落する日』(プレジデント社)

台湾もほぼ同様の傾向だ。いまの状況が続けば、日本と韓国・台湾の位置が逆転し、差が開いていく可能性がある。実際、OECDによる長期経済予測は、そのような姿を描いている。

OECD諸国との相対的な地位の低下を食い止めるためには、最低限、OECD諸国平均の成長率を実現しなければならない。そして、日本のかつての地位を挽回するには、OECD諸国平均より高い成長率を実現する必要がある。

ところが、2010年から2020年にかけての直近の10年の一人あたりGDPの増加率は、OECD平均が1.09倍なのに対して、日本は0.89倍だ。2000年から2020年では、OECD平均が1.66倍なのに対して、日本は1.03倍だ。

日本はそのうち、マレーシア並みになる

この傾向を逆転するのは容易なことではない。しかし、そうしない限り、図表2に示されている日本の左右対称の図形がさらに「先進国からの脱落」に向かってしまうことになるだろう。

これまでの傾向が将来も続くとすれば、数年後に韓国が日本を追い越すのはほぼ確実だ。そして、その後さらに格差が広がっていくだろう。

仮にこれまでの成長率が将来も続くとすれば、20年後には、日本の一人あたり名目GDPが4万1143ドルなのに対して韓国は8万894ドルと、ほぼ倍になる可能性すらある。

日本はそのうち、マレーシア並みになる。そこで止まらず、インドネシア並み、ベトナム並みになる危険がある。これは、そう遠い将来のことではないかもしれない。

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