最新技術を活用する
かつては海外赴任が決まれば、語学学校に通うのが通例でしたが、今では「ロゼッタストーン」のような外国語トレーニングソフトを渡されるケースも多くなっています。空いている時間をうまく利用して各自で学習せよということです。
スマートフォンからドライブレコーダー、自動運転車、デジタルアシスタントに至るまで、どの最先端技術をとっても、十数年ほど前には夢物語に思えたものばかりです。
でも、The future comes one day at a time.「未来は日一日とやって来る」と言われるように、未来は確実に身近に迫ってきています。たとえば、スマートフォンなどに搭載されているSiriなどのバーチャルアシスタント機能を使ってディクテーションをしてみると、正しい発音であれば英語のつづりが画面に示されますが、聞き取れない場合にはクエスチョンマークが出てくるので、自分で発音の矯正訓練ができます。
聞き取り練習にも効果的
PDFになっている文書は、コンピュータの音声読み上げ機能の中から、読むスピード、男性の声、女性の声、アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語などを選ぶことができます。また「ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)」などでは、記事に読み上げ機能が付いているので、聞き取り練習に便利です。
しかしこうした機能も、coronavirusのような新語や日本人の名前などはうまく発音できなかったり、アメリカ英語で「履歴書」を意味するresume(résuméとも表記する)と「再開する」という意味の動詞のresumeのようなheteronym(同形異音異義語)を間違って発音したり、Md.(Maryland)のような略語やhmm(ふーむ)やugh(うわっ)のような感嘆詞を認識できずにアルファベットどおり発音したりと、まだ完璧ではないことに、多少の安心感を覚えたり楽しくなることもあります。
ただ、AIがそのような弱点を克服できる日は、そう遠くはないでしょう。
元NHKラジオ「実践ビジネス英語」講師。昭和女子大学客員教授。東京生まれ、青山学院大学卒業後、「朝日イブニングニュース」記者に。71年にオハイオ州立大学に留学、修士号取得。「シンシナティ・ポスト」経済記者など経て、日本ゼネラル・エレクトリック取締役副社長、プラップジャパン代表取締役社長などを歴任。