年末調整でiDeCoの手続きが間に合わなかった場合

最後にiDeCoの確定申告についてです。以前にもこのコラムで年末調整の際に「小規模企業共済等掛金控除証明書」を提出するのを忘れないようにと書きました。ところが、この種類が送られてくるのは10月ごろです。仮に昨年の後半、10月以降にiDeCoに加入し、12月中に掛金の引き落としがあった人にはこの書類が送られてくるのは1月に入って以降になりますので、年末調整では間に合わず、確定申告をしなければなりません。

また、書類は10月に送られてきたものの、年末調整の際に提出を忘れた人も同じです。もし確定申告をしなければ、その分の掛金が所得控除の対象となりませんので税の恩典を受けられなくなってしまいます。払込みの回数が昨年末の1~2カ月ぐらいなら金額もそれほど大きくはありませんが、前回のコラムで書いたように仮に年収500万円の人で毎月2万円ずつ積み立てた人であれば1年分の累計24万円が全て所得控除されますので、税金分で得になるのは約4万8000円になります。

このように税というのは知っているか知らないかで案外大きな差になってきます。確定申告なんて自分には縁がないとか、面倒だと思い込んでしまうのではなく、一度チェックをしてみた方がいいのではないでしょうか。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。