部活動指導は「労働」か?

とりわけ部活動については、整合性のある説明をすることは、おそらくできない。今回の埼玉県の訴訟では小学校教諭が原告となっていたので、部活動は争点となっていないが、中学校、高校などでは、勤務時間外に部活動指導が及ぶことは日常茶飯事だ。たとえば、定時が17時の学校の場合、17時までの部活指導は「労働」で、17時以降は「労働」ではなく、ボランティアだというのは、おかしな話だろう。実態としては17時前後で何も変わらないのに。

それに、校務分掌の一環として「○○部の顧問は誰々先生にお願いします」ということは職員会議等で確認している学校は多い。しかも、部活動のガイドラインやコロナ対策の影響もあって、月間の活動計画を校長に提出している学校も多いことだろう。校長は、勤務時間外に部活動が展開されていることは百も承知のはずだ。今回の裁判例もそうだが、これまでの判例でも、指揮命令とは黙示的なものも含まれている。なのに、時間外の部活動は校長の指揮命令の下の業務ではない、と言えるのだろうか。

部活動指導は法的に矛盾だらけ

さらに、休日の部活動指導には、特殊勤務手当のひとつが支給されている。なぜ、労基法上の「労働」とは言えない自発的なことに、公金を支出するのか。

このように、部活動指導の法的な性格は矛盾だらけ、あるいは甚だ曖昧なのである。

時間外の業務を真正面から「労働」と認めると、全国各地の学校が労基法違反となってしまうだろうし、時間外勤務手当をどうするかといった問題も生じてくる。少子高齢化の中、教育に追加的な予算はなかなか付かないなかで、どうしていけばよいのかは難題だ。

こうした現実的な問題が大きいのは確かだが、だからといって、働いているのに「労働」とはみなされないというのは、納得がいくものではないだろうし、大問題である。こんな制度のままでは、教員志望者をさらに減らしてしまいかねない。

妹尾 昌俊(せのお・まさとし)
教育研究家、学校業務改善アドバイザー

徳島県出身。京都大学大学院修了後、野村総合研究所を経て、2016年から独立。全国各地の教育現場を取材し、講演・研修、コンサルティングを行っている。中央教育審議会委員、スポーツ庁、文化庁において部活動のあり方を検討する委員等も務めた。主な著書に『教師崩壊』(近刊)、『こうすれば、学校は変わる!「忙しいのは当たり前」への挑戦』、『学校をおもしろくする思考法―卓越した企業の失敗と成功に学ぶ』、『変わる学校、変わらない学校』など多数。高1、中2、小6、小3の4人の子育て中。