輪郭の違うカップルは喧嘩が多くなることも

このように、輪郭の違う人は体力量が違うため、多くの点で違いが出てきます。人が持つ能力に「体力」という視点を入れてみることで、新たに見えてくるものもあるのです。輪郭は、人と人の相性にも影響を及ぼします。

たとえばカップルの場合、ディラテならディラテ同士、レトラクテならレトラクテ同士のほうがコミュニケーション欲求が似ているため、一般的には意見も合いやすいようです。

以前、ある夫婦にこんなことがありました。

この夫婦は、夫が体力の少ないレトラクテで、妻が体力の豊富なディラテであったため、夫は休日にはしっかり休みたいと考えていました。しかし、妻はいろいろなところに出かけたいと考えます。

そこで夫は「俺は家にいるから、一人で行ってきたら?」と言うのですが、これが一人で行動するのが嫌なディラテの妻にとっては寂しく、また怪しくも感じてしまうのです。そのうち「私のことを嫌いになったの? もしかして浮気?」と、夫のことを怪しむようになってしまいました。

適性に合った“適切なストレス発散法を”

体力が少ない夫にしてみたら、土日ぐらい家でゆっくりしたいところですが、活動的で外交的な妻にしてみれば、「夫は家にいると嘘をついて、誰かと連絡しているのでは……」と思ってしまったのですね。互いの行動を理解できないことが、すれ違いの原因でした。

そこで、二人にそれぞれの輪郭と体力について説明したところ、納得されたようです。

やはり、それぞれの適性に合った過ごし方ができなければ一緒に過ごすことは難しくなります。この夫婦の場合、休日には夫は家でゆっくり過ごして体力回復に努め、妻は友だちと出かけるなどして体力を発散する必要がありました。

反対に、夫がディラテで妻がレトラクテの共働き夫婦の場合は、週末はさらに夫に家事をしてもらうとか、子どもと一緒に遊んでもらって体力を発散することをお勧めしています。

ディラテとレトラクテの特徴
佐藤ブゾン貴子『あなたの顔には99%理由がある』(河出書房新社)より

コミュニケーションを築くのに役立つ「輪郭の違い」

このように輪郭の違い=体力量の違いは、潤滑なコミュニケーションを築くためには、非常に重要なポイントとなります。

あなたやあなたの身近な人の顔の輪郭が、体力の豊富なディラテか、体力の少ないレトラクテかを見極めることによって、互いにとって負担のない心地良いコミュニケーションのあり方を考えることができるのです。

佐藤 ブゾン 貴子(さとう・ぶぞん・たかこ)
相貌心理学教授

1975年生まれ。2004年、アパレルの勉強のためにフランスに渡り、現地で相貌心理学に出会い、傾倒。学会長に師事し、5年の研修課程を経たのち、世界で15人、日本人では初となる相貌心理学教授資格を取得する。帰国後は、1億人以上の顔分析に基づく相貌心理学を広めるために、セミナーやセッション、企業への講演などを行う。著書に『人は顔を見れば99%わかる―フランス発・相貌心理学入門』がある。