「高齢者にやさしい日本」を実現した方法をこども政策に活かすべし

子育ては親の責任でもありますが、子どもも親も(ときには子育てを助ける祖父母も)、「要介護・要支援」の状態になったときに、誰もが相談し利用できる公的支援制度の充実は、子どもを産み育てやすい令和の日本の基盤になっていくと考えます。

超少子化の日本でこそ、こども政策、子育て支援政策の拡充は急務です。

国民なくして国家なし、国防・経済成長や労働を支えるためにこども政策が重要であることは、真に国家を大切に思われる自民党右派の国会議員のみなさまこそ深くご理解いただき、財源の確保にもご尽力いただけるはずでしょう。

財源は、介護保険と同様に広く社会で支える仕組みも検討されるべきですが、親の就労も子どもの成長も支える仕組みであることから、企業負担や所得・資産課税など幅広く求められるべきです。

この点で言えば、自公連立政権には高齢者にやさしくあたたかいシルバー政策を充実させてきた十分な実績があります。

介護保険や介護福祉士、ケアマネージャーの仕組みを作り上げ、介護を支える労働者も国籍・性別に関わらず資格保有すれば正規就労につながり、家族のいない高齢者も介護や支援につながることができる。

もちろん介護労働者の待遇改善は重要ですが、このような仕組みが介護政策で実現できるならば、こども政策や子育て支援においても実現できるのではないでしょうか。

このように高齢者にやさしい日本を実現してきた連立与党の実績を生かすことができれば、親子にやさしい日本の実現はいますぐ可能であるはずです。 

野党だって大同団結して実現を応援することでしょう。

年明け通常国会では、本気の政策論争を

大人ファーストで急転した「こども家庭庁」の機関名称ですが、年明け通常国家ではこどもまんなかでの機関名称のあり方を検討されてはどうでしょうか?

国会に、虐待や貧困の当事者、支援団体代表などを参考人で招致しながらの与野党の対話も重要になるでしょう。

また、こども庁3要件=財源・人件費・こども基本法に関する与野党本気の政策論争は急務です。

岸田総理自身が総裁選で重要性を強調された教育や住宅の支援、衆議院選挙で各政党が公約を競った、児童手当の充実、教育の無償化、医療費の無償化など、財源を要する政策こそ国会において急いで実現しなければ、見えない国難とも呼ばれる超少子化の解消は到底無理でしょう。

言いっぱなしの選挙公約ではないはずです。

こどもまんなか、こどもファーストの日本を実現するための、与野党の本気の政策論争が急務です。

超少子化の中で国家の急速な衰退がもはや視野に入っている段階です、この期におよんで政党政治が子どもたちのための財源・人件費・こども基本法から逃げることは許されません。

全政党が日本国と、日本の子どもたちの未来を明るく確かなものにしていくために、実力を発揮いただくのみです。

末冨 芳(すえとみ・かおり)
日本大学文理学部教授

1974年、山口県生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学院教育学博士課程単位取得退学。博士(学術・神戸大学大学院)。内閣府子供の貧困対策に関する有識者会議構成員、文部科学省中央教育審議会委員等を歴任。専門は教育行政学、教育財政学。主著に『子育て罰 「親子に冷たい日本」を変えるには』(光文社新書・桜井啓太氏との共著)、『教育費の政治経済学』(勁草書房)など。