運用成果にも一定の優位性

性別多様性は実際に運用成績にも貢献しているのでしょうか。GPIFの「ESG活動報告」(20年度)によると、17年4月から21年3月までの収益率についてはTOPIX(東証株価指数)が−9.07%であるのに対し、WINは9.89%でした。

MSCI日本株女性活躍指数の業種ウエイト

グラフは18年をゼロとしてWINに連動するETFとTOPIXの動きを比較したものです。WINがTOPIXを常に上回っていることがわかります。とくに20年3月のコロナショックの際には、WINの落ち込みが抑えられているのがわかります。

消費者の約半数は女性です。女性が活躍できる場を整えられない企業は、消費動向についていくのが難しく、競争力が低くなるのではないでしょうか。また、多様性によって生まれてくるイノベーションも制限されます。

投資先あるいは就職先の企業を見極める場合にもWIN指数が参考になるのではないでしょうか。

構成=向山勇

根本 直子(ねもと・なおこ)
早稲田大学大学院教授

早稲田大学法学部卒。シカゴ大学経営大学院経営学修士(MBA)。日本銀行、スタンダード&プアーズ、アジア開発銀行研究所などを経て現職。中部電力、などの社外取締役も務める。