一部繰上げ返済で将来の負担を減らす

そこで、貯蓄がゼロにならないよう、一部繰上げ返済という方法をオススメします。一部繰上げ返済をすると、支払い終わる期間が短くなります。そして、収入が年金だけになる65歳までには、返済を終えたいものです。

そもそも定年後も住宅ローンが残ってしまうような計画は、あまりよろしくありません。退職金で全部を返済するつもりでいても、退職金が予定より少ない場合もありますし、会社を途中でやめる可能性だって否定できません。もし可能ならば、ボーナスなど余裕ができたときに住宅ローンの繰上げ返済をすることで、将来の負担を少しでも減らすこともできます。

最近は低金利の影響か、住宅ローンを借りすぎるケースが見受けられます。ムリな住宅ローンを組むと、老後の資金計画に支障をきたすこともあるのです。

すでに住宅ローンを組んでいる人は、がんばって返済計画を立てるようにしてください。30代、40代でこれから住宅ローンを組む場合は、くれぐれも借りすぎに注意しましょう。

スケールのバランスをとって家とコイン
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繰上げ受給と繰下げ受給どちらが得?

通常、年金は65歳で受け取りが始まります。しかし、60歳から70歳の間ならば、いつでも受け取ることができます。65歳より前に受け取ることを繰上げ受給、66歳以降から受け取ることを繰下げ受給といいます。

「60歳からもらえるなら、なにもキリキリ働かなくたっていいじゃないか」

こういう意見があることは承知しています。実際、約12.3%の人が繰上げ受給をしており、繰下げ受給を選んでいる人はたった1.5%です。「早くにスタートしたほうが長期間もらえて得!」だと考える人が多いようです。これは大きな勘違いです。

元気で働けて、緊急性がなければ、繰下げ受給をするほうが得になります。というのも、早く受け取るほど受給額が減り、遅く受け取るほど受給額が増えるのです。