日本酒のハードルを下げた"ある手法"
こうした「チャレンジ」や「ごっこ」を盛り上げる商品・サービスへのニーズは、今後もしばらく続くでしょう。TikTokで人気の動画を見て「私たちも撮ってみようよ」とまねする若者はたくさんいますから、商品企画に関わる方には、今どんな動画が人気なのかアンテナを張っておいてほしいと思います。
3つめのトレンドは、同じく退屈な時間が増えたことから生まれた「下げチャレンジ」です。このトレンドの特徴は、強いお酒に憧れながらも「酔い潰れて失敗したくない」と二の足を踏んでいる若者に向けて、サービス側があえてハードルを下げた提案をしていること。
例えば、日本酒の獺祭を使った獺祭パフェ(小笠原伯爵邸にて提供)や、モスバーガーとコラボしたモスシェイク×獺祭は、日本酒はハードルが高いと考えているZ世代に、気軽にチャレンジできるとして話題になりました。
ノンアルコールドリンクのみのバーが話題
昔の若者は失敗を重ねながら大人の階段を登っていったものですが、今の若者はそうしたステップを自ら登りたいとは考えていません。大人気分は味わいたいけれど、ハードルが高いものにはチャレンジしたくない──。そこへハードルを下げた商品が登場したため、「じゃあ手を出してみようかな」と考える若者が増え、ヒットにつながったのだと思います。
同じ「下げチャレンジ」では、バーに憧れはあるがハードルが高いと考える若者心理をうまく捉えた店も注目されています。代表的なのは、ノンアルコールドリンクのみのバー「0%」や、表向きはコーヒースタンドに見える謎解きバー「JANAI COFFEE」など。いずれもSNSで若者を中心に大きな話題を集めました。これらは、自分たち若者を対象にしていることが明確であり、背伸びすることなく安心して足を運べる場所なのです。