疑わず、寄り添った目線で質問を

たとえば、いかにも上司を疑るような目で「本当に上が言っていることなんですか?」とやってしまってはダメです。こんな聞き方をすれば、上司に目をつけられていじめの対象になってしまうかもしれません。

見波利幸『平気で他人をいじめる大人たち』(PHP新書)
見波利幸『平気で他人をいじめる大人たち』(PHP新書)

そうではなく、相手を気遣う気持ちを持って質問します。

「この件に関して、私は疑問があるのですが○○課長自身はどんなふうにお考えですか?」

という聞き方ならば、相手が不快に感じることはないでしょう。さらにこのように、相手に配慮した聞き方をすれば、上司の方でも次からは安易に「上が言っていることだから」という言葉は使いづらくなるという効果もあります。

このように、相手の気持ちを尊重しつつ、自分の意見を素直に伝えることができる状態をアサーティブと言います。アサーティブなコミュニケーションスキルが身に付けば、理不尽なことを言ってくる人に対しても、相手の攻撃を抑えることができます。

アサーティブなコミュニケーションは、嫌なことをしてくる相手にこそ、最も使うべきスキルなのです。

見波 利幸(みなみ・としゆき)
日本メンタルヘルス講師認定協会 代表理事

1961年生まれ。大学卒業後、外資系コンピューターメーカーなどを経て、98年に野村総合研究所に入社。主席研究員としてメンタルヘルスの研究調査、研修開発に携わり、日本のメンタルヘルス研修の草分けとして活躍。2015年より日本メンタルヘルス講師認定協会の代表理事に就任。20年かけて開発した2日間の「ヒューマンスキルを強化するマネジメント研修」は大企業を中心に絶大な支持を得ている。著書に『心が折れる職場』『上司が壊す職場』(以上、日経プレミアシリーズ)など多数。