自民党の「長寿の秘訣」
自民党は、GHQによるアメリカの占領が終わった3年後の1955年に誕生している。ニューヨークタイムズは、前述の記事で、自民党の設立の裏では、共産主義や左派の台頭を恐れたアメリカのCIAが、いくつかの保守勢力が一緒になるよう働きかけたと指摘している。
戦後の経済成長とともに飛躍した自民党の強さは、「They’re good at shape-shifting(形を変えることがうまい)」つまり、総裁選で見られたように、保守のタカ派的な人からハト派的な人までそろっていることが、自民党の長寿(longevity)の秘訣だと報じた。もし、有権者が1つのバージョンに飽きてしまったら、もう1つの方向に舵を切ればいい。過去には、自民党が野党の政策のアイデアをうまく採用してきたことも、力の源泉だという。
また、「何でもあるのが自民党なので、有権者は、特に野党を求めなくてもよくなっているという状況がある」という識者のコメントも紹介していた。もちろん、野党勢力が弱いことも、政権交代ができない理由の1つとして挙げていた。
日本の女性議員は「男女平等より党への忠誠」
もう1つ、海外のメディアが注目したのは、日本の政治における女性議員の立ち位置だ。
今回の自民党の総裁選では、初めて女性候補と男性候補が同数になったが、女性政治家が2人とも敗れたことは、特に驚くことではないとアメリカのAP通信は伝える。総裁選は、「自民党が年配の保守的な男性の重鎮に支えられており、女性が政治の世界で平等になるのはまだ先のことだということを明確に示した」という。
ワシントンポストも、「日本にはタリバンがいないのに、なんでこんなに女性活躍が遅れてきたのか不思議に思うくらい」という小池百合子東京都知事の発言を紹介しながら、2人の女性候補が、ただ負けただけでなく、勝利にほど遠かったことを伝えた。
前述のAPの記事は、日本の政治の中では女性は「超少数派(tiny minority)」であると指摘する。その中でも極端に女性議員が少ないのは自民党で、解散前の数字ではあるが、女性衆議院議員は9.8%にすぎず、他の党は15%から32%だと伝えている。
そして、「アナリストによると、多くの女性議員は男女平等を追求するよりも、党への忠誠心を示すことで上昇しようとする傾向がある」と指摘する。
これは、有権者の多くの女性たちがなんとなく感じていたことではないだろうか。そうしないと党の中で生き延びられないのではないかと。