「政治は男性のもの」ではない
「日本の若い人は政治についてどう考えているのだろう」と思っていたら、若者の政治参加を促す団体「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さん(23)の話を聞く機会があった。彼女は、若者の投票率が80%を超えるデンマークに留学し、若い世代の声が政治に反映されるのを見て、「日本の若い世代の投票率を上げたい」と、2019年インスタグラムで選挙情報を発信する活動を始めた女性だ。
10月中旬、能條さんは、今年創設され、さまざまな分野でリーダーを目指す女性を応援するための「女性リーダー支援基金」の5人の受賞者のうちの1人に選ばれた。その受賞式の席で、能條さんの語った言葉が印象的だった。
「今の団体のメンバーは70人ぐらいで、その9割は女性。インスタグラムでメディア発信もしていますが、フォローしてくれている7万人のうち8割ぐらいは女性です。政治の情報は男性のものと思われていましたが、場を作れば女性も一緒に参加できる。私たちの世代では、少なくとも女性の候補者、政治家の割合が半々であってほしい。そのために候補者を、一緒に仲間を見つけて行きたいと思っています」
冒頭のフィナンシャルタイムズの社説は、次のように続ける。
「成功を収めた日本は大きな課題も抱えている。世界一の高齢国家、経済の停滞、石炭火力発電への依存、勃興する中国。日本には挑戦するリーダーが必要なのだ」と。
来たる総選挙。どの候補者が、長く続いた岩盤構造に切り込み、長期的視点に立って日本の未来を作り出せるのか。そんなことを真剣に考えて投票する時ではないだろうか。
上智大学外国語学部卒業後、1991年ジャパンタイムズ入社。政治、経済担当の記者を経て、2006年より報道部長。2013年より執行役員。同10月には同社117年の歴史で女性として初めての編集最高責任者となる。2000年、ニーマン特別研究員として米・ハーバード大学でジャーナリズム、アメリカ政治を研究。2005年、キングファイサル研究所研究員としてサウジアラビアのリヤドに滞在し、現地の女性たちについて取材、研究する。著書に『The Japan Times報道デスク発グローバル社会を生きる女性のための情報力』(ジャパンタイムズ)、国際情勢解説者である田中宇との共著『ハーバード大学で語られる世界戦略』(光文社)など。