さまざまな価値観が受け入れられつつある昨今、職業性差意識も変化してきている。そんな中、いまだに私たちに潜む「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」により、不公平感や生きづらさを感じている男性もいるかもしれない。「男性学」の視点からお話を聞いた。
ビジネス女性、同僚男性との背景
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男は出世競争し続けるという暗黙のルール

仕事をするうえで、女性は結婚・妊娠・出産が就業継続の壁になったり、子育てとの両立を考えると社内で出世したいという意欲を持てなかったり──。女性たちが女性であるからこそ抱える悩みや葛藤があるように、男性にも男性固有の悩みや葛藤があります。その多くは「仕事を中心とした生き方」による弊害なのですが、根本には年代を問わず、「男は40年間フルタイムで働く」という自明性があり、誰もが疑うことのない前提のもとで社会全体が動いていることに起因していると考えられます。「男性学」とは、そうした男性だからこそ抱えてしまう悩みや葛藤を対象とした学問です。

俗にいう「男らしさ」とは、一般に競争を優位に進めるために求められる特性を、「女らしさ」とは他人と仲良くするために求められる特性を表します。つまり、これまで男性には「競争」、女性には「協調」が求められ、基本的には男はリードする側なのに対し、女はリードされる側という関係性が根づいていました。男性は出世競争に加わるべきという暗黙のルールのもとで、仕事ができて一人前という価値観が共有されていたわけです。

A、Bの内容では、それぞれ男女どちらを想像する?