総裁選4候補への期待

9月22日に、自民党総裁選立候補者によるこども庁創設に向けた公開討論会が実施されるそうです。

私自身はこども庁は、ただの省庁再編なら政府の体力を落とし、むしろ親子にも政府能力にも実害しかなく、財源と人員の拡充、子どもの権利を尊重する子ども基本法の実現とセットではないと意味がないと考えています。

※参照:末冨芳「こども庁は財源論と子ども基本法とセットで本気の公約! #子育て罰をなくそう、#児童手当削減やめよう

総裁選が自民党を脱・子育て政党の本格的な軌道に乗せるには、野田氏の示した論点に他の候補者がどのように真剣にビジョンと政策を示すかにかかっています。

1.子どもの幸せ(ウェルビーイング)の重視、あわせて子どもの権利・尊厳を実現する立法の重視
2.子ども財源の確保と現金給付(児童手当・教育の無償化・住宅費支援)の具体策
3.コロナ禍で深刻化する子どもの貧困問題への取り組み
4.こども庁の機能の構想と必要な人員拡充を実現するかどうか
(子どもの貧困・虐待改善や性犯罪者から子どもを守る日本版DBSの支援職・データベース運用専門職、子どもの権利擁護を守る日本版子どもコミッショナー・子どもオンブズパーソン等の設置)
5.少子化対策に逆行する児童手当の特例給付廃止の実施延期

総裁選後の衆議院選挙も見据え、各候補者がどのような主張をするか、注視しなくてはなりません。

自民党が脱・子育て罰政党に進化できるのか、それとも今まで通りの子育て罰政党のままなのか。

子どもがいなくなり日本国が衰退・消滅するのかどうか、国の未来がかかった総裁選といっても過言でないでしょう。

末冨 芳(すえとみ・かおり)
日本大学文理学部教授

1974年、山口県生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学院教育学博士課程単位取得退学。博士(学術・神戸大学大学院)。内閣府子供の貧困対策に関する有識者会議構成員、文部科学省中央教育審議会委員等を歴任。専門は教育行政学、教育財政学。主著に『子育て罰 「親子に冷たい日本」を変えるには』(光文社新書・桜井啓太氏との共著)、『教育費の政治経済学』(勁草書房)など。