親もストレスを抱えている

今は、子どもだけでなく、親自身もストレスを抱えています。コロナ禍の、制約が多く先の見えない状況に対応しながら、子どもを守らなければいけないというプレッシャーもあるでしょう。

私のところを受診される方の中には、コロナ禍のため、これまで子育てを手伝ってくれていた親(子どもにとっての祖父母)を頼れなくなり、負担が増えて、「何から手をつけたらいいのかわからない」と混乱しているお母さんもいらっしゃいました。「こうした大変な時だからこそ、親である自分が頑張らなくては」と、自分で自分にプレッシャーをかけている人も多いようです。

「自分と向き合う時間」を持つ

そもそも大人は、会社では従業員、家では妻や夫、母や父などの、いろいろな役割を背負っています。その役目を果たすことばかりを考えていると、周りからの期待に応えようとして「自分の気持ちや行動を自分でコントロールできていない」という感覚に陥り、ひどくなると心身の健康を損なってしまいます。

コロナ禍で、ストレスが多い時だからこそ、時には「親」などの役割から離れて、自分をいたわる時間を持ってほしいですね。好きな動画を見たり、音楽を聞いてぼんやりするといったことでいいと思います。1日に10分でもいいので、自分に向き合う時間を持つようにすることが大切です。

構成=池田 純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。