自己PRに活用するコツ

いちばんのポイントは、末尾に自分のアピールポイントを付け加えておくこと。「職務経歴書には、キャリア以外の余計なことを書いてはいけないのではないか」と思うかもしれませんが、書式は自由ですから、この書類を自己PRに使わない手はありません。

具体的には、最終ページの3分の1程度を使って、「自己PR」や「志望動機」などのタイトルをつけた一文を書くといいでしょう。ただし、転職の自己PRや志望動機は、新卒の就活の時のものとは違います。「もし入社したら、私は貴社にこう貢献できます」という内容を、できるだけ具体的に書いていきます。

これを書くには、志望先の企業がどんな事業課題を抱えているか、どんな人材を求めているかなどを想像する必要があります。ニュースや企業サイトなどで情報を集め、志望先のニーズをしっかり想像した上で、そこに自分の経験やスキルをどう生かせるかをまとめていくのです。

採用担当者は、応募者の経歴を逐一知りたいわけではありません。いちばん知りたいのは、「入社したら自社でどう活躍してくれそうか」ということで、職務経歴書はそれを類推するための資料でしかないのです。

紙資料とスマホを手に作業する女性
写真=iStock.com/bymuratdeniz
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経験や実績の「裏づけ集」と考えて

転職を希望する人の中には、職務経歴書を転職活動における主役のように思っている人も少なくありません。でも、私の経験から言えば、「私はこういう経歴を持っているので採用してください」という意識で書かれた職務経歴書は、採用担当者の心には響きにくいことが多いようです。

ここはひとつ考え方を変えて、「私は貴社にこう貢献できます、なぜならこういう経験があるからです」という意識で書くようにしてみましょう。職務経歴書は、あなたの経験や実績を示す“裏づけ集”だと考えるのです。

では、「こう貢献できます」を末尾に書くとして、それを裏づける「こういう経験があります」の部分はどのように書けばいいか。これは「ビフォーアフター形式」を意識しながら書くと伝わりやすいのではと思います。

「ビフォー」には、自社やプロジェクトが抱えていた課題を、「アフター」にはその課題を、自分がどう解決しどんな結果を出したかなどを、具体的な数字を入れながら書きます。そしてビフォーとアフターの間に、解決に向けてどんな手を打ったか、自分がどんな役割を果たしたかなどを書き込んでいくのです。