準備のための準備は社長の仕事

今日一日の仕事内容・その人員配置・時間割はできていますか?
今日一日の材料は正しくすべて揃っていますか?
今日一日の仕事量(生産目標)は決まっていますか?
今日一日、機械が故障しないように整備されていますか?
今日一日の使う道具・治具はすべて適切なモノが揃っていますか?

こういう、現場改善の準備のための準備が何かを明確にしておくこと。それを、全従業員が毎日毎日、怠りなくできるようにするのが、社長の仕事です。

平鍛造の平美都江社長。
撮影=奥川純一

従業員を効率よく動かすための準備ムダだったり、効率が悪かったり、しなくてもいい仕事をさせ続けて、残業して低賃金の従業員のほうがよほど気の毒です。誰も得しない。

効率よく現場を動かして、最小限の時間で最大限の生産量を上げるには、しなくてはならない準備がある。大きく分けて、

やるべき内容、進行状況を「見える化」しておく

機械の整備のための時間を作っておく(機械故障ストップは最悪の不効率)

どこまで準備できるかが、勝負!

ということ。

効率化のカギは一週間単位での生産計画

うちの会社では、1カ月単位の中で1週間を区切って生産計画を立てている。これをどう効率化しているかというと、生産会議を基本的に週1回のみにし、そこで作業の割り振りをすべて決めます。ただ、生産計画の微調整は毎日行います。

ということは、すべての従業員がその時点から2週間後まで、どの日に何をするかを把握できる。そして、各現場、各従業員で翌日何をするか、数日前の段階でペーパーが回るようになっていて、翌日は、確認だけしてすぐスタートできるように準備ができている。

機械のメンテナンスも同じ。省人化が進んでいると、機械が止まったとき最大の不効率が起きてしまうから、前日の終わりに、材料・治具出し、掃除や整理整頓を30分以内で、1週間に1日以上のメンテナンスの時間として空けて、リスクを最小限にするようにしている。

もし、この時点で就業時間を過ぎていても、現場の従業員には前払い残業手当を月21時間支払っているため、前日に終わらせることができる。今日はここまで、続きは明日、というやり方だと、結局、翌日の作業時間が削られ、思わぬトラブルも発生しやすくなり、生産計画そのものがおかしくなってしまうことが多い。

さらに、コロナ禍をきっかけに会議そのものも、ビジネスチャットでほとんどすませるようになりました。うちの会社は24時間稼働しているからむしろそのほうが都合がいい。各工場の現場、営業、事務などの連絡、人や部材の動き、日程の調整など、ほとんどのケースでもはや一堂に会して会議をすることもありません。