プレゼン会場に自分の等身大パネル

プレゼン会場の奥には、ブライダルモデルの等身大のパネルが飾られていた。なんとそのモデルが、20代前半にそのホテルで結婚式を挙げた、田澤さんと夫だったのだ。

「開口一番『私どものホテルにはゆかりがありますか?』と聞かれたんですが、『はい、実はあれが私です』とパネルを指して、『以前、ここで式を挙げたんです。ですから御社については、誰よりも語ることができます!』と話したら、ものすごく驚かれました」

それをきっかけに場が盛り上がり、大型の受注を得ることができた。

過労で倒れて広告代理店を退社

上司からは「(運を)持っているとしかいいようがない……」と感嘆された田澤さんだが、その後の仕事は多忙を極めた。「田澤が取ってきた案件だから」と、各紙誌や屋内広告、屋外広告と、通常なら複数の担当者で分担する案件を1人で担当することになったのだ。短い期間で幅広い種類の広告の制作進行を担当できたのは良い経験になったが、あまりの仕事量に、ついに倒れてしまう。「こんな働き方を続けていたら、命が持たない」と医師にも止められ、2005年、会社を離れることにした。

3カ月ほど休んだところで、今度は外資系化粧品会社のマーケティングマネージャーの話が転がり込んできた。

「そこでは、マーチャンダイジング(商品化の計画)の仕事もみることができました。その時点で30歳を越えていて、これまでプランニングとプロモーション、マーケティング、マーチャンダイジングをやってきたので、独立してもある程度やっていけるんじゃないかと思ったんです」