リハビリで復職に備える「活動期」

活動期は、ある程度、会社に行くことを想定したリハビリ期間のようなもの。ただ、骨折後もそうですが、どんな疾患もリハビリ期間がいちばんしんどい。メンタル不調の場合も、ここが最もきつい山になります。

このリハビリ期間中の目標が「体力」「集中力」「思考力」を回復させることです。まず重要なのが「体力」。体力がないと、せっかく復職しても、月曜日から金曜日まで通勤できません。木曜日、金曜日まで体力が持たず、つらくなってまた調子をくずしかねません。ダラダラ期に体力は落ちているので、この時期に取り戻すことが大切です。

具体的には、曜日と時間を決めてウォーキングをすることをおすすめしています。誰かとおしゃべりするのが難しいぐらいの、早歩きのペースで、週に1~3回。最初は15分ぐらいを目標にします。ポイントは暑い日も雨の日も、どんな日も、自分で決めた曜日と時間に休まず行うことです。

というのは、これは会社に行くためのトレーニングだからです。「暑いから行かない」「雨だから行かない」というのは、会社では許されません。どんなに面倒でも欠かさないことです。慣れてきたら、回数を増やしたり、時間を長くしたりして、体力をアップさせていきます。そして毎日1時間以上できるようになるのが目標です。

「集中力」「思考力」に関しては、仕事に関する書類や本で勉強することをすすめています。そこで、仕事に関連する書類や本に触れたときに、頭痛や吐き気がしないか、体に強い拒否反応がないかを確認します。

勉強する場所は、できれば会社の近くの図書館やカフェが望ましいですね。会社の近くまで行くことで、通勤の訓練になりますし、椅子に座って書類を読んで、自分がどれぐらい集中できるかを確認できます。まず目標としては半日。机に向かって半日勉強できたら、だんだんと復職に近づいています。

ノートパソコンを使う女性
写真=iStock.com/kokouu
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長引く原因は「ダラダラ過ごせない」から

ダラダラ期から活動期を経て、復職に向かうこの道のりは、早い人は早いけれど、長引く人は長引く。かなり個人差があります。長引く原因の多くは、ダラダラ期をうまく過ごせていないことにあります。

ダラダラ期をうまく過ごせていないと頭は疲れたまま。その状態で活動期に入っても、何も続かないし焼け石に水です。まずは頭を完全に休ませてリセットしないと、集中力も思考力も戻ってきません。