なぜ開催するのか、きちんと説明してほしい

【森】開催するかしないか、観客を入れるか入れないかって、もうずっとニュースでやっていますよね。それは政府が議論しているからなんだろうけど、正直、どこに向かって議論しているのかが僕たちにはよくわからない。お互いが意見を持っているのに、それが通じ合わないままここまで来ている印象です。開催するならするで、明確な理由をきちんと提示してほしい。そうすれば僕たちの意見も変わるかもしれないのに。

【安田】中止した時の違約金や選手の気持ちを考えると、議員の人たちも板挟みだと思うので、正直かわいそうだなって気がします。でも、もう現実的に考えてやるしかない状況まで来ちゃってる。それだったらそれで受け入れるから、万が一の時にどう対処するのかだけはっきり説明してほしい。最低限そこだけやってくれればいいかなって思います。

不信感はぬぐえない

【原田】でも、お金がかかるかもしれないとはいえ、中止や延期を決定するタイミングはこれまでにいくつもありましたよね。

【安田】そう考えると、開催するしないを判断する時期が遅いですよね。そこに対しては不信感があるかな。

【原田】若者たちも、今回の五輪には政治やお金の問題を感じているようですね。コロナ禍に加えてそうした思いもあって、反対派が多くなっているのかなと思いました。もともとスポーツや五輪に興味がない人もいるけれど、興味がある人も「国民の声が届いていない」「説明がきちんとされていない」と感じている。ただ、事態はもう開催前提で進んでいるようです。では実際に五輪が開催されたら、若者たちはその期間をどう過ごすつもりなのか。次回は、その点について聞いていきたいと思います。

構成=辻村洋子

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト、芝浦工業大学教授

1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを経て、現在はマーケティングアナリスト。2022年より芝浦工業大学教授に就任。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。主な著作に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)、『パリピ経済 パーティーピープルが経済を動かす』(新潮新書)、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)、『寡欲都市TOKYO』(角川新書)、『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)などがある。