夫婦関係の悪化を防ぐにはどうすればいいのか
次に考えたいのが、夫婦関係の悪化を防ぐには「何をすればいいのか」という点です。
この点に関して、シカゴ大学の山口一男教授は、「夫婦が共に過ごす時間」が重要だと指摘しています(※2)。
具体的には、平日では夫婦の食事とくつろぎの時間を共有すること、そして、休日では家事・育児や趣味・娯楽・スポーツの時間を共有することがプラスの影響を及ぼすと指摘しています。
子どもがいる中でも「夫婦の時間」を大切にする。
子育て真っ最中の夫婦には「無理!!」と思われる方も多いと思います。しかし、長く続く結婚を心地よいものにするために必要な投資だと考え、トライしてみるといいかもしれません。
山口一男教授は、夫婦関係の悪化を防ぐには「夫の家事・育児参加」も重要であると指摘しています。日本では女性に家事・育児の負担が集中する傾向があるため、この点に異論がある方は少ないでしょう。
ただし、夫の家事・育児参加が少ない背景には、男女間賃金格差や男性正社員の長時間労働といった労働市場の構造的な問題があります。これらの課題は政府のさまざまな施策によって徐々に改善してきていますが、まだ道半ばといった状態であり、今後のさらなる施策に期待したいところです。
※2 山口一男 (2007)夫婦関係満足度とワーク・ライフ・バランス, 季刊家計経済研究, 73, 50-60。
1982年生まれ。慶応義塾大学商学部、同大学院商学研究科博士課程単位取得退学。博士(商学)。専門は労働経済学・家族の経済学。近年の主な研究成果として、(1)Relationship between marital status and body mass index in Japan. Rev Econ Household (2020). (2)Unhappy and Happy Obesity: A Comparative Study on the United States and China. J Happiness Stud 22, 1259–1285 (2021)、(3)Does marriage improve subjective health in Japan?. JER 71, 247–286 (2020)がある。