女性は「NO」と言う権利がある
では女性は、こうした男性やそれを許している社会に対して、どういった態度で臨めばよいでしょうか。それは、もう「NO」を突きつけることに尽きます。
今の社会で女性が不利な立場になっているのは、社会のルールをつくったのが男性だからです。ですから、お茶くみや掃除など、女性がやって当たり前と思われている雑用をおしつけられたら、基本的に「NO」と、はっきり言っていい。言う権利があるということです。
社内で一人だけ声をあげるのが不安なら、多くの女性に声をかけて「女性だからやるのはおかしい」というのを共同の意見として伝え、一つひとつ社内の風潮を変えていくことが大切ですし、それがいちばん正しい対処法だと思います。
上の世代の男性には「今の時代は、差別はない」と言う人もいますが、差別の対象となったことがない人は差別の存在に気づかないのです。差別がなくなったと言い切れるのは、それを経験してきた人たちだけです。こうした男性の意見に押し切られないようにしていきたいですね。
そして女性をネタに男性たちが盛り上がっていても、そこに反応しないこと。笑うこともしないし、主張もしない。反応があるからこそやりたくなるという心理が働くからです。取り合わないのが、いちばんです。
男性は教わるのではなく自ら学ぶべき
ただ、わからない男性には、いくら言ってもわかりません。
女性が女性差別を知っているのは、勉強したからではなく経験したからですよね。自分で経験したから知っている。男性は経験していないからこそ、自ら理解するために学ぶべきだと思うんです。女性から教わるのではなく、自分から勉強するべき、僕はそう思います。
それでも一昔前に比べると、だいぶましになったと思います。若い世代は、女性だけでなく、LQBTQに対する理解度も高い。学校教育においても、性の平等性は意識されていますから、今の子どもたちは、そういった平等感覚が育つのではないかなと期待しています。
構成=池田純子
産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。