プログラミングは男の仕事?

「プログラミングが大好きな女子はいないんでしょうか?」

アドバンスト・プレースメント[飛び級]のコンピューターサイエンスの授業を担当している教師たちを対象とする、カーネギー・メロン大学の夏期プログラムに参加した、ある高校教師が疑問を呈した。

「コンピューターが好きでたまらない男子なら、いくらでもいるんですがね」。彼は考えあぐねて言った。「うちの息子はほうっておけば、きっと一晩中プログラミングをしているでしょう、と何人もの親御さんが言っていました。でも、女子でそういうケースはありません」

それは本当なのかもしれない。だが、彼の仲間の女性教師が指摘したとおり、極端な行動に表れていないからといって、女子生徒がコンピューターサイエンスを好きではないとは言えないはずだ。実際、その女性教師は自分の学生時代を振り返って、「大学に入って最初の授業でプログラミングに夢中になった」と語った。でも徹夜はしなかったし、大部分の時間をプログラミングに費やすこともなかった。

世界初の電子計算機のプログラミングを行った女性たち

「徹夜をするというのは、それだけ没頭して夢中になっているしるしですが、未熟さの表れとも言えるでしょう。女子の場合、コンピューターやコンピューターサイエンスへの情熱はもっとちがうかたちで表れます。徹夜のような強迫的な行動を期待するというのは、典型的な若い男性の行動を期待しているんです。なかにはそういう女子もいますが、ほとんどはちがいます」

コンピューターサイエンスへの適性について、典型的な男性の行動を当てはめようとするのも妙な話だ。じつは、かつて女性たちは元祖「コンピューター」として、軍隊で複雑な計算を行っていた。その後、機械のコンピューターが登場して、女性たちに取って代わったのだ。

おもに男性がコンピューター関連の仕事をするようになったのは、それから何年も後のことだ。1946年に登場した世界初の電子計算機、ENIACのプログラミングを行ったのは6名の女性だった。

1940年代から50年代において、プログラミング業務を担当していたのは女性たちだったのだ。