アイデア出しの社内ルール
実はサンコーには、「毎週必ず、新商品アイデアを提案すること」との社内ルールがあります。﨏さんによると、役員を除く全社員(原則)とアルバイトスタッフを加えたメンバーが、同社のコンセプト(「面白くて役に立つものを展開する」)に沿ったオリジナルの商品企画を毎週、社内の電子掲示板に書き込むそうです。
ただし、そこに社長や役員は参加しない。だからこそ、メンバーは自分以外のアイディアにも「もっとこうしたらいい」や「このほうが売れそう」など、面白がりながらワイワイと意見を書き込めるのでしょう。
実際に、職場でご飯を炊ける炊飯器を開発しようかとなった直後、掲示板には技術系の社員から、「熱の通りをよくするために、小型化しよう」や、「丸形だと炊きあがりがムラになるから、四角形にしてヒーターを張り巡らせたら?」など、できるだけ短時間でうまく炊き上げる解決策が、どんどん提示されたとのこと。
一方、アイデア段階の炊飯器を見たメンバーからは、「小型で四角い炊飯器って、そういえば『弁当箱』みたいだね」との声があがったと、﨏さん。
続いて出たのは、「確かに!」「それなら、炊いたご飯をそのまま(弁当箱から)食べられないの?」や「だったら職場でサッと水洗いして持ち帰れないと、匂いが気になる」といった、消費者目線の声の数々。
結果としてアッという間に「おひとりさま用弁当箱炊飯器」の素案が、形になっていったといいます。
周りを面白がらせたい社員ばかり
上司から「毎週必ずアイデアを出せ」と上から目線で言われれば、ややもすると心理的負担になるかもしれない。でもサンコーの場合、メンバーの多くが「周りの人を面白がらせたいと、普段からいろんなことに興味を持っている」と﨏さん。
彼のアイデアで商品化された「部屋干しくるくるカラりん」は、電動回転式ハンガー掛け。ハンガー部分が1分間に6回転するため、洗濯物にまんべんなく日光や風が当たる仕組みで、発想のきっかけは「僕自身が、洗濯物に乾きムラがあるのがイヤで、途中でひっくり返すのも面倒。なんとか解決できないかと考えたことでした」。