心理的安全性が保たれ、メンバーがいつも機嫌がいい。そんな理想的なチームと職場づくりに腐心する2人の経営者が語った目標の立て方と、チームメンバーの強み分析法とは――。

野菜に起きていることは、チームメンバーにも起きている

長野県佐久穂町の「のらくら農場」は、有機栽培で、多品種を栽培して安定的に出荷し、複数の野菜が野菜の栄養価コンテストで最優秀賞を受賞するなど、高い評価を受けています。経営するのは、20代で会社を辞め、農家になるために移住してきた萩原紀行さん。二十数年の試行錯誤で見出した野菜づくりと農場のチーム作りの極意が、著書『野菜も人も畑で育つ』(同文舘出版)にまとめられています。

その萩原さんと、チームを育てるプロで『宇宙兄弟「完璧なリーダー」は、もういらない。』の著書のある長尾彰さんが、良い畑と良いチームの共通点について語り合いました。

【萩原】畑で育つ植物の特性や構造って、人やチームにも当てはめられるんですよ。

のらくろ農場の萩原紀行さん
のらくら農場の萩原紀行さん(写真=本人提供)

例えば、うちでは“TR比”という言葉をよく使います。Tはトップ、Rはルートで、植物の土から出ている部分と土の下の根の部分の比率のことです。育てるものによってTR比は違って、「この品目はトップが伸びるタイプだ」といったことが分かるようになると、温度管理をどうすべきかとか、そういうところでめちゃくちゃ役に立つガイドラインになるんです。

これって人も同じで、トップとルートを見るようにするとよく分かるんです。一見トップは伸びていないような人について、「今すごく根を伸ばしていて、着々と力をつけてると思うよ」と話したりとか。

【長尾】面白い!