「健康で学もある」女性たちの宝の持ち腐れ状態

以上の結果をまとめると、「日本の女性は男性と比べて教育レベルも健康も遜色がない状況にあるが、それにもかかわらず、日本の政治と経済はいまだ男性によって運営されている」という世界の評価が明確に示されています。

ある大企業の従業員向けダイバーシティ講演会でこの指標の話をしたのですが、講演後のアンケートに「世界的にみれば、日本の女性は学も健康も男性に匹敵するレベルなのに、政治・経済で活用されない『宝の持ち腐れ』という話をきき、胸に突き刺さるものがありました」と書かれた方がいました。

宝の持ち腐れ。

女性よりも体力任せが利く男性をメインに、先進国最低水準の時間当たり名目GDPを絞り出す日本のこの「宝の持ち腐れ」が見直されることがなければ、若い男女の「共働き理想」が調査ごとにその割合を増す日本において、経済成長も人口の未来もない、そう感じるのは筆者だけではないのではないでしょうか。

天野 馨南子(あまの・かなこ)
ニッセイ基礎研究所 生活研究部 人口動態シニアリサーチャー

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、1999年から同社シンクタンクに出向。1児の母。専門分野は人口動態に関する諸問題(特に少子化対策・少子化に関する社会の諸問題)。内閣府少子化関連有識者委員、地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・人口動態・女性活躍・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。