早期離職を促す仕組みが整備されていく

最後に「定員管理」を適正に行うには定期的な人員の調整も必要になる。22歳で入社し、70歳で退職するまでの約50年間を同じ会社で過ごすことになると、当然、その間にモチベーションの低下やスキルの陳腐化も発生する。働く意欲を失わずに、スキル転換のための新たな学びが求められるが、それでも会社への貢献度と給与にミスマッチが生じる社員も発生する。そうした社員に対して早期に“転身”という名の早期離職を促す仕組みも整備されるだろう。

実際に早期退職募集を実施する一方で、中途採用を行っている企業もある。医療機器メーカーの人事部長は「ビジネスが大きく変わる中で、新しい分野に挑戦することに消極的な社員も一定数いる。それなら今のスキルを必要とする企業に転職し、活躍できるのであれば本人にとっても良いこと。一方、新しいビジネスに必要なスキルを持つ中途人材を会社としても積極的に採用することも必要だ」と語る。

すでに70歳までの雇用を前提に45歳や50歳の節目にキャリア開発研修を実施し、人によっては退職勧奨を行う企業もある。その支援制度として「早期退職制度」を常備している企業も少なくない。今後は早期退職制度の活用による“人材の入れ替え”でによる流動化を促す企業が増える可能性もある。

法的に70歳までの雇用が保障されても、漫然と働いているだけだと給与が減少したり、途中で退職勧奨されることになりかねない。逆に働く人にとっては今以上のリスクを抱えることになるかもしれない。

溝上 憲文(みぞうえ・のりふみ)
人事ジャーナリスト

1958年、鹿児島県生まれ。明治大学卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。著書に『人事部はここを見ている!』など。